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【2014夏の甲子園】
東海大相模・楠研次郎外野手

■出身地・福島への思い胸に奮闘
「1番・左翼」で出場し4打数2安打。切り込み隊長としての役割はきっちり果たした。それでも試合に負けた悔しさが全身からにじみ出ていた。「負けたら良い悪いじゃない。あと1点が取れなかった」
福島県楢葉町出身。中学2年生のとき、東日本大震災に見舞われた。津波や東京電力福島第1原発事故の影響で、ボールやバットに触れることすらできない日々が続いた。「もう野球はできないんじゃないか」とも考えた。
それでも野球への情熱は変わらず、避難先の同県いわき市でシニアチームに入った。発足したばかりで、メンバーは1年生ばかりだったが、野球ができることがうれしかった。
「どうしても甲子園に出場したい」との思いから、高校は神奈川の強豪・東海大相模を選択。力のあるチームメートと切磋琢磨(せっさたくま)し、レギュラーも奪取した。
「いろんな人が応援してくれているのでいいプレーを見せたい」。福島の友人に成長した姿を見せるべく甲子園に乗り込んだが、チームは逆転負け。「ここまで支えてくれたすべての人に感謝している」。試合後、目を真っ赤にしながら言葉を絞り出した。(浜田慎太郎)