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津市計画の体育施設「サオリーナ」入札不調続く

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津市計画の体育施設「サオリーナ」入札不調続く

 津市出身の女子レスリング、吉田沙保里選手にちなんで同市北河路町に計画している市産業・スポーツセンターの中核施設「サオリーナ」のオープン目標が当初予定より1年も遅れる平成29年4月にずれ込む見通しとなった。東日本大震災からの復興に伴う公共工事の急増で労働力不足や建設資材の高騰を背景に入札の不調が続いている。前葉泰幸市長は「市民の皆さんに申し訳ない」と謝罪し「8月中には、何らかの方針を示したい」としているが、明らかな見通しは立っていない。

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 吉田選手が24年9月の世界選手権で世界大会13連覇を成し遂げた直後の10月に「サオリーナ」とすることをぶちあげた前葉市長。センターを子供たちや若者らが鍛錬する希望の殿堂として計画を進め、26年1月に着工し28年春のオープンを目指し、昨年6月に入札を告示した。しかし、2カ月後の入札に参加者はなく、11月に再び入札を求めたが、1事業者も集まらなかった。市は「弾き出した予定価格が低過ぎて、実勢価格との開きが大きかった」と分析した。

 この後、市は資材費や労務費を見直すなどして予定価格を前回より約26億円も高い約80億4千万円と設定。オープンを28年秋にずらし、今年5月14日に3度目の入札に臨んだ。しかし、結果は大手1社と市内2社による共同企業体(JV)の参加を得たものの、入札金額が94億5千万円と予定価格を大幅に上回り不成立に。その日のうちにJVに入札不調の際に適用できる随意契約を打診したが、26日になって「契約を締結できない」との回答があり、再び振り出しに戻った。

 市は14億円以上も上回ったJVの入札金額を「入札公告以降の資材などの価格上昇と長期的、広域的に労働者を集めることの経費などが盛り込まれた」とみている。

 人件費や資材費の高騰に伴う建設工事費は、日を追って急騰している。市役所であった前葉市長の定例記者会見で、入札不調の理由を「予定価格の設定後に資材費などの市場環境が変わった」と釈明。3度目の入札不調は、サオリーナの事業費を設定する市の算出作業が全国的な建設費の値上がりのスピードに追いつかない実態を浮き彫りにしている。

 4度目の入札に向け市は公共事業の入札対策を支援する国交省と2カ月間で協議し積算方法などの変更を進める方針。32年開催の東京五輪を当て込んだ建設需要を先読みした市場環境も激変しているため、前葉市長は「市の市場に対する見方で検討すべき点を探る」としている。

 サオリーナは、33年の三重国体でバレーボールとバスケットボールの会場に選定され、30年の全国高校総体でも会場に見込まれている。県内のスポーツ行政に大きな影響を及ぼすだけに、市は国交省との対策協議で補正予算を組んで対応する可能性もあるという。