笛吹やまなし伝統工芸館 水晶細工や印伝…光る匠の技

甲信越ある記

 県民、県内在住者が「山梨県の伝統工芸品は」と聞かれ、まず思い浮かぶのが、日本一の生産量を誇る水晶を研磨した貴宝石。そして人形・置物などの水晶細工だろう。

 次が、シカ革のかばんや財布などの甲州印伝、郡内織物、和紙、印章あたりか…。すべて県認定の「郷土伝統工芸品」である。さらに鬼瓦、すずり、こいのぼり、親子だるま、スズ竹細工と続く。時空を超えて受け継がれる匠の技を一堂に集めたのが「やまなし伝統工芸館」だ。

 伝統工芸の振興を目的に、国の積極的な支援で全国に整備された施設の一つ。帝京大が昭和63年に開設、運営している。

 入り口右手に印伝、正面にすずりと手漉(てすき)和紙と親子だるま。左手に手彫印章、奥に水晶貴宝石と水晶細工。帝京大大学院教授で副館長の鈴木稔・主任学芸員は「展示の多くは水晶関連。水晶貴石と印章と印伝は県認定に加え国の指定も受けている」と説明する。

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 16世紀が発祥という水晶細工。ピンクの紅水晶の彫刻「唐美人」、透明の「四天王」や、水晶やメノウなどを使った色とりどりの「七福神」が目を引く。「オリエンタル風の作品が中心で、技術が伝承されず文化財的な価値を持つものが多い」と鈴木氏。

 江戸末期に生産が始まった甲州印伝は、丈夫な紙を切り抜いた型紙をシカ革に乗せ、上から漆を塗り文様を付ける技だ。

 「型紙までは伊勢。漆塗りから後は甲州で作られる。2つの技術の融合から生まれた」(同)。切り絵のような、型紙の精巧さに思わず目を奪われる。

 実印に使われる手彫印章も江戸期の発祥で、材料は水晶、柘(つげ)、水牛など。「多くの伝統工芸品と同様、職人の高齢化や後継者難に直面している」(同)

 甲府市産の親子だるまは、子だるまを抱える親だるまの姿がユーモラスだ。甲州雨畑硯(すずり)は、黒一色の石をノミや砥(と)石(いし)で彫るもので、産地は富士川町、早川町。21日まで「雨畑硯展」も館内の一角で開催中。

 予約制の体験コーナーでは、アクセサリー、万華鏡の制作ができ、小学生らに人気という。鈴木氏は「体験を含め、伝統工芸品の本物の良さと、技術を知ってほしい」と強調した。 (松田宗弘)

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 ■やまなし伝統工芸館 笛吹市石和町四日市場1566。中央自動車道一宮御坂インターチェンジから車で10分。JR中央線石和駅から5分。休館は土日、祝日、年末年始。開館時間は午前9時~午後5時。入館料は大学生以上300円。中高生200円。小学生以下は無料。(電)055・263・6741。