「原爆の図」…悲惨さ訴え 広島市現代美術館で丸木夫妻の作品展

 

 画家の丸木位里(いり)・俊(とし)夫妻の代表作「原爆の図」や書簡などを集めた展覧会が8日から、広島市南区の市現代美術館で始まり、来館者らが原爆の悲惨さを訴える作品群に熱心に見入った。11月25日まで。

 同館などの主催。会場には、昭和25年から夫妻の共同制作でスタートした15部構成の「原爆の図」シリーズのうち、初期1~5部の屏風(びょうぶ)作品をはじめスケッチや油彩画、印刷物、書簡など約100点を展示した。

 原爆の図シリーズの1部「幽霊」では、被爆して皮膚が垂れ下がった手を前に出しながら歩く裸の女性らで、画面が埋め尽くされる。

 2部「火」には、炎に包まれる中、黒く焦げた赤ちゃんや苦悶(くもん)する人々らが登場し、原爆投下後の火災の様子が臨場感を持って表現されている。

 3部「水」では、死んだ赤ちゃんを抱く母親をはじめ、屍(しかばね)の山や水を求める人々を描き、当時の悲惨さを再現している。

 夫妻は原爆投下後の20年8月に広島を訪れており、自らの体験と被爆した家族から聞いた話などをもとに、この3部作を制作した。会場には、これらの作品が大きな反響を呼んだことなどで、夫妻が25年末ごろに改めて描いた3部作の再制作版も展示されている。

 このほか、原爆詩人の峠三吉にあてた夫妻の書簡、25年の広島での原爆の図の展覧会開催をPRするチラシも。

 来館者の東京都世田谷区の学習塾経営、今井美槻(みつき)さん(26)は「写真で原爆投下後の様子を見たことはあるが、この絵はぐっと悲惨さが迫ってくる」と話していた。