奈良時代の“幻の国”建国1300年 福島・須賀川で記念事業

 

 奈良時代に県内に数年間だけ存在したとされる幻の国がある。「石背国(いわせのくに)」。その中心地は、いまの須賀川市内に置かれていたと考えている。同市では、今年が石背国の建国1300年に当たるとして、展覧会などの記念事業を開催する。(内田優作)

 石背国は718年に当時の「陸奥国(むつのくに)」から分かれる形で生まれ、現在の県内中通り、会津地方を領域とした。その後、720年から728年の間に、再び「陸奥国」に統合され、姿を消してしまったとみられている。

 誕生の背景については、台頭する蝦夷(えみし)との戦いに備えて後方拠点として準備されたなどと説明されているが、消滅の原因とともに諸説あり、分かっていない部分も多い。拠点となる「国府」は、同市に置かれていたと考えられている。同市は、石背国や古代史を伝える史跡公園整備を計画、来年から具体的な検討に入る。

 市立博物館では今月30日まで、企画展「まぼろしの国 石背国」が開催されている。石背国の国分寺として置かれたとされる「上人壇」の廃寺址などから出土した土器や刀など約100点を展示している。

 企画展の一環で講演会なども開く。29日には上人壇で県立博物館の荒木隆学芸員がワークショップを開催、紙粘土で寺院に使われた瓦のレプリカの制作を体験し、歴史を感じる試みを行う。企画展終了後の10月20日には福島大学の柳沼賢治特任教授が東公民館で石背国の成立背景について解説する予定となっている。

 また、15日には国府が置かれていたと考えられている「栄町遺跡」や上人壇廃寺址などを歩く「歴史ウォーク『古代の須賀川』」を行う。先着30人限定で参加費は300円。問い合わせは同市文化振興課(電)0248・88・9172。