「彩のきずな」勝負の年に 暑さに強く好機到来、ブランド米確立へ 埼玉 - 産経ニュース

「彩のきずな」勝負の年に 暑さに強く好機到来、ブランド米確立へ 埼玉

 日本穀物検定協会の「平成29年産米の食味ランキング」で、5段階評価で最高ランクの「特A」を獲得した県産米「彩のきずな」の新米の出荷が9月上旬から始まる。今夏は猛暑が続いたが、暑さに強い彩のきずなの特性が発揮された。今年2月の特A獲得後に注文が殺到し、大きな話題を呼んだが、人気のブランド米として、確固たる地位を築けるか、30年産の評価が勝負となりそうだ。(黄金崎元)
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 ◆上旬から出荷開始
 「今年の夏は彩のきずなの強みが生きた」。こう話すのは県生産振興課主穀担当の中里和重副課長。
 今夏は熊谷市で国内最高気温となる41・1度を記録するなど県内各地で35度以上の猛暑日が続いた。稲にとって高温は米粒が白く濁ってしまい、品質が低下するマイナス要素だ。
 彩のきずなは夏の暑さに負けないため、県農業技術研究センター(旧県農林総合研究センター)が15年から9年かけて育成。約300種の中から奇跡的に白濁しない1種類を見つけて育成し、26年に品種登録された。夏の暑い日は、根から水を吸い上げ、葉や穂の温度を下げて品質の低下を防ぐ特性を持つ。
 一方、30年産の田植えは早い地域では5月頃に始まり、8月頃から稲刈りが行われている。今年は26年ぶりに県産米として特Aを獲得したこともあり、作付けする農家が昨年よりも増えているという。県内の作付面積は29年産が3400ヘクタールだったが、30年産は4千ヘクタールを見込んでいる。
 ◆高まる期待
 県西部にあるJAいるま野(川越市)も今年は生産を強化する方針を決めた。管内の29年産の作付け比率はコシヒカリが50%、彩のきずなが40%だった。
 30年産については「主力2品種がそれぞれ45%ぐらいで、彩のきずなが若干上回る見通し」(米麦特産課の浅見純一課長補佐)。JAいるま野管内では9月7日から新米の販売を開始する。
 県東部の農家でも彩のきずなへの期待が高まっている。神扇農業機械化センター(幸手市神扇)の船川由孝社長は「幸手ではコシヒカリに次ぐ品種として期待している。これから猛暑が続けば、暑さに強い彩のきずなの作付けが県内で増える」とみている。
 今後の期待が膨らむが、課題もある。県生産振興課の中里副課長は「確固たる人気ブランドになるには30年産米でも特Aを獲得し、これから継続することが大要だ」と指摘する。
 米づくりは天候に左右されることが多く、各農家の技術力が問われる。肥料の適正な配分や田植え方法、刈り取りのタイミングなどがお米のおいしさで差が出てくるポイントだという。彩のきずなを人気のブランド米にするには県内の各農家の努力も重要となる。