【ちば人物記】アトピー治療の記録や情報交換の無料アプリ開発 Ryotaro Akoさん - 産経ニュース

【ちば人物記】アトピー治療の記録や情報交換の無料アプリ開発 Ryotaro Akoさん

 ■患者や家族の精神的支えに
 NPO法人日本アトピー協会によると、国内に約600万人の患者がいるというアトピー性皮膚炎。幼児や若い世代に多いが、成人になってから発症や再発する人も多く、患者数は増加傾向にある。治療法や他のアレルギー疾患との関連などの研究は進んでいるが、患者自身が治療経過を記録したり、患者同士の情報交換などを支援したりするアプリがないと感じ、無料iPhone(アイフォーン)用アプリ「アトピヨ」を開発した。
 本業は公認会計士だ。再生可能エネルギー開発を行う企業で財務経理・内部監査などを担当。アプリを開発したことはなかったが、幼少期から自身もアトピーやぜんそく、アレルギー性鼻炎で苦労した経験があり、何か役に立ちたいという強い気持ちで開発を決断したという。
 「アトピーはひどくなると、見た目を気にして外出しなくなったりする。24時間かゆみが継続して寝られなかったりして、精神的にもつらい。通院治療以外の支援も必要と思っていた」
 昨年、第3子の誕生を機に、薬剤師の妻と相談し、自身が初めて育児休暇を取得し、まとまった時間ができた。大学などでプログラミングを学んだ経験もあったので、大手のオンラインのプログラミングスクール「テックアカデミー」で改めて学びながら、アプリ開発に取り組んだという。
 当初は3カ月程度でできると思っていたが、「新しく学ぶことが多くて、大変だった」と振り返る。開発開始から製品のリリースまでには想定の倍以上となる7カ月を要したが、「妻の助言やママ友とパパ友に(試作の)モニター版を使ってもらって感想を聞き、助けられた」と打ち明ける。
 アプリには配慮が随所に見られる。カメラで患部の画像を撮影しても、アプリ上には画像が残るが、スマホ本体には残らないようにした。
 「スマホのアルバムには旅行などの画像も多い。そうしたプライベートの画像を友人に見せるとき、患部の画像を間違って見せないように配慮した」と話す。
 手や顔などの部位に加え、薬やクリームなど9つのカテゴリーでの検索、赤みやカサカサなど症状での検索、治療経過が一目で分かる画面にも工夫を凝らした。気軽に使ってほしいために無料で配信することも決めた。そうした点が評価され、7月25日のダウンロード開始から約1カ月で約1200人が利用。今も増えている。オンラインスクールのアプリ開発コンテストでは最優秀賞も受賞した。
 「症状がひどいと外出しなくなって、1人で悩み続ける人も多い。アプリでつながった人に相談して気持ちが軽くなるだけでも開発者としてうれしい」
 気軽に使ってもらう一方で、今後は継続的に使ってもらうために、研究機関と提携、遠隔診療の仕組みを応用したシステムなどでアプリの改良も模索する。
 「ユーザーを増やし、ユーザーの意見を聞きながら、より良いものにして、アトピー患者の役に立ちたい」と語った。(永田岳彦)
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【プロフィル】リョウタロウ・アコウ
 昭和54年、神奈川県出身。慶大院修了後、公認会計士試験に合格。大手監査法人勤務を経て、現在は再生可能エネルギー開発企業で財務経理・内部監査などを担当。昨年の第3子誕生を機に育児休暇を取得し、7カ月かけて、アトピー治療の記録や患者同士の情報交換に役立つiPhone用無料アプリ「アトピヨ」を開発した。