【ZOOM東北】秋田発 介護など5分野外国人労働者拡大へ 人材、諸外国と争奪戦 - 産経ニュース

【ZOOM東北】秋田発 介護など5分野外国人労働者拡大へ 人材、諸外国と争奪戦

 政府は外国人労働者の受け入れ拡大にかじを切った。来年4月に人手不足が深刻な介護、農業、建設など5分野で、最長5年の就労を認める新たな在留資格を新設する。既存の制度との併用で滞在期間が延長できるケースも出そうだ。県内の現場では将来の幹部候補生となりうる優秀な人材も求められており、諸外国との「奪い合いが始まっている」との懸念も出ている。 (藤沢志穂子)
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 五城目町の介護老人保健施設「湖東老健」では、20~30代のフィリピン人女性3人が、同国と政府の経済連携協定(EPA)に基づき、介護福祉士候補者として働く。平成28年から順次、受け入れを始めた。
 ある日の午前。ロビーに集まってきた入所者に3人がすっと寄り添った。「ジュース飲みましょうか」とリーダー格のノエラ・マリ・レイエスさん(30)が声をかけて手を握り、頭をなでる。みな安らかな表情を見せていた。
 「日本のアニメが好き」と笑う3人は本国の看護師資格を持つ。だが働き口がなく、より給与の高い日本で介護福祉士を目指す。「看護師は忙しい。患者さんと話せる介護の仕事の方が好き」とノエラさん。
 ◆狭き門
 政府はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3国と看護師、介護福祉士の受け入れに関するEPAを平成20年度から順次、結んでおり、これまでに約4700人が来日した。介護福祉士は3年間の就労後に国家試験が受験でき、合格すれば日本で長く働ける。だが言葉の壁もあり、フィリピン人の合格率は過去5年間で3~4割と狭き門だ。
 湖東老健を運営する医療法人・正和会の加藤稔樹事務長は「採用は安価な労働力を得るためではなく、活性化と国際交流のため」と強調する。「彼女たちにとって、入所者は祖母か祖父のよう。人材育成には日本人と同じかそれ以上のコストをかけている。資格を取って管理職として長く働いてほしいし、新たな人材も採用したい」と期待する。
 大潟村の農業法人・正八は政府の外国人技能実習制度を活用して昨年、20~30代のベトナム人3人を受け入れた。農作業に従事してきたスタッフが高齢化し、人手不足となったためだ。ネギなど野菜の栽培、出荷作業を担当している。
 最年長のド・ヴァン・ティンさん(38)は短大卒業後、ハノイ近郊で電気技師として働いていた。
 実家は農家で、本国より給与水準の高い日本で言葉と農業を学びたいと来日した。在留期間は最長5年。その後は「給与の高い日系企業で働きたい気持ちもある」とティンさんは揺れている。
 ◆永住権検討を
 「正八」代表の宮川正和さんは外国人を追加で採用する計画だったが、確保できていない。経済成長が進む中国など、他のアジア諸国へ人材が流れていく気配を感じている。
 「同じレベルの人材を日本で確保するのは困難。本当は10年は働いてほしいし、管理職も任せたい。日本を選んでもらう動機付けが必要」
 EPAと技能実習制度は国際貢献を建前に整備され、喫緊の人手不足の対応には難しい側面もあった。
 労働問題に詳しい日本総研の山田久理事は「将来的にはアジア全体での人材争奪戦となり、単なる労働力扱いでは日本に来てくれなくなる」と指摘。諸外国で行われている二国間協定で、国内で不足する労働者数を分野別に確認した上で一定数を受け入れる「労働市場テスト」を日本が採用し、「優秀な外国人には永住権を与える検討も必要」と話していた。