愛川町など9市町、財政力評価され不交付団体に 補助金減額、担当者は複雑 神奈川

 
愛川町と厚木市にまたがる「県内陸工業団地」(同団地協同組合提供)

 国が地方自治体の財源不足を補う平成30年度の地方交付税額が決まり、県内では33市町村のうち、横浜市や相模原市、横須賀市など24市町村が交付団体となった。前年度まで交付団体だった愛川町を含め、9市町が不交付となった。不交付団体は、財政力のある行政運営への評価を受ける一方で、補助金が減額されるなどのデメリットに直面するため、財政担当者らの思いは複雑だ。(外崎晃彦)

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 4年ぶりに不交付団体となった愛川町は、町内に拠点を置く企業の業績が好調に推移し、法人税収が増加した。その企業の多くが入居するのが同町と厚木市にまたがる「県内陸工業団地」で、総面積約230万平方メートルのうち、同町側が約3分の2を占める。団地全体で約140の企業・団体があり、景気回復を背景に、製造業や流通業などの業績が伸びたという。

 ◆圏央道開通が影響

 町財政課の担当者は「圏央道(首都圏中央連絡自動車道)開通の影響が大きい。相模原愛川インターチェンジが近く、交通や物流の要衝として注目され、各企業の業績が伸びている」と分析した。不交付団体になったことについては、「自立した財政運営ができている証しだ」として誇りをにじませる一方、付帯するデメリットへの不安も述べた。

 「算定基準のぎりぎりのライン。もらえていたものがもらえなくなり、厳しい財政運営を強いられるだろう」と予測し、「東京都内の自治体のように、税収に大きく余裕のある自治体ならいいが…」と苦しい心情を吐露した。

 算定基準ぎりぎりの不交付は、愛川町だけではない。全国20の政令指定都市のうち唯一、不交付団体となっている川崎市は、その影響の大きさに頭を抱えている。

 ◆川崎は借金でカバー

 交付は「財政力指数」に基づいて決まるが、不交付ラインの「1・00以上」に対し、ここ数年の川崎市の指数はほぼ1・00。一度、交付が“内定”したのち、調整によって取り消された29年度に続き、3年連続で不交付団体となった。

 市財政局によると、「不交付団体は単に財源補填(ほてん)が無くなるだけにとどまらない。大きな影響がある」とし、その主な要因として、「ふるさと納税による減収の補填や法人税の再配分が消失すること」を挙げている。

 また、地方揮発油譲与税、保育所の整備交付金、幼稚園就園奨励費などについて、国からの補助率も引き下げられる。

 同局の試算によると、「不交付によって総額100億円程度、自由に使えるお金が減少する」といい、「財源不足分は減債基金からの借金でカバーしているのが現状だ」(大山啓祐財政課長)と嘆いている。

 ◆制度の問題指摘も

 人口増で保育所を増やし続けなければならないという、市ならではの状況も財政圧迫に拍車をかけているようだ。同局では「人口規模や地理条件が算定基準に不利に働いている。同じ境遇の政令市は見当たらず、協調して声を上げることも難しい」としている。

 一方、法人税収が38億円増となるなど、30年度は過去最高水準の税収を見込む横浜市は交付団体。人口規模や市域面積のほか、市営地下鉄や市立大があることなどが、財政力指数を決める「財政需要額」を押し上げているのだ。

 箱根町の山口昇士(のぶお)町長は昨秋、産経新聞のインタビューに対し、「不交付団体は財政に余裕があるとみなされるが、全て自前でやらなければならない」と話し、「不交付団体のなかには、米軍基地や水力発電などで補助を受けている自治体もある。それらを一律の基準で算定することに疑問を感じる」として、制度の見直しを訴えていた。

 ■地方交付税 地方自治体の財政力格差を調整するために国が毎年度、自治体に配分する財源。自治体の需要(財政需要額)から収入(財政収入額)を差し引き、需要額が収入額を超えた場合に差額を交付する。収入を需要で割った数値を「財政力指数」として、1・00以上なら不交付団体となる。交付団体は税制上の補助拡大など、差額が補填されるだけにとどまらないメリットがある。