朝採れ野菜、午後には都内へ 山梨県初、高速バス「貨客混載」開始

 
高速バスのトランクスペースに積む野菜を最終確認するJA全農やまなし職員=29日、甲府市上阿原

 JA全農やまなしと富士急行は29日、高速バスのトランクスペースを活用し、貨客混載で農産物を東京に運ぶ「産地直送あいのり便」を初めて実施した。同JAによると、本県では初の取り組み。市場を経由した通常輸送よりも新鮮な状態で農産物を届けられることが特徴。今回はイベント用の3日間の輸送だが、今後は都内での販路の拡大を狙う。(昌林龍一)

 JA全農やまなしによると、「あいのり便」は富士急山梨バスが運行する甲府新宿線の2便で実施。新宿行きのトランクスペースに専用のボックスを積み込む仕組み。ボックスは周囲のにおいや熱が野菜などに伝わらないよう開発した。

 この日は、農産物直売所「たべるJA(じゃ)んやまなし」(甲府市青葉町)に農家から届いた朝採れのシャインマスカット、ピオーネ、ナス、トマトなど、2便分の各60キロをボックスに詰めた。

 ボックスは富士急の上阿原車庫でバスに積み込まれ、午前に出庫。東京・新宿のバスターミナル「バスタ新宿」で乗客を降ろした後、近くの富士急行東京本社のバス駐車場で荷降ろしした。

 農産物は29日から新宿タカシマヤで始まった「富士急行タイアップ 産地直送バスあいのりマルシェ from やまなし」(31日まで)で即売された。

 企画した「アップクオリティ」(東京都新宿区)によると、国土交通省が昨年9月、条件を満たした路線バスで350キロ以上の貨物を輸送できるよう規制を緩和したことを受け、朝採れの農産物の貨客混載を提案したという。

 富士急行によると、バスタ新宿に近い東京本社が配送の中継基地に活用できるため、JAとのタッグが実現。今後もJA側から要請があれば、午前便で実施したいとしている。

 JA全農やまなしの近野俊幸副本部長は「通常は大型トラックで運ぶ果実と異なり、大量輸送の便がない甲府市名産のナスなど少量収穫の農産物を新鮮な状態で運べる」と指摘。「定期路線でリレー出荷も可能なので、新宿駅や東京駅に近い販路を開拓し、富士北麓の季節ものなどの扱いも検討したい」と期待感を示した。