八幡堀守り30年 地元の誇り、未来へ 会員ら記念誌作成 滋賀 - 産経ニュース

八幡堀守り30年 地元の誇り、未来へ 会員ら記念誌作成 滋賀

 戦国武将、豊臣秀次が八幡山城(近江八幡市)の築城の際に整備し、風情ある景観から年間を通じて映画やドラマのロケが多数行われる八幡堀。景観を守っているのは、市民有志らでつくる「八幡堀を守る会」だ。今年で結成30周年。会員らは記念誌を作るなどし「秀次が作った地元の誇り。汚さず未来に残していきたい」と決意を新たにしている。
 八幡堀は天正13(1585)年、豊臣秀吉のおいの秀次が八幡山城を築いた際に、城下町と琵琶湖をつなぐ目的で作られた。全長約4・7キロ。水運の動脈として活用され、全国各地から運ばれた物産を保管した土蔵が建つなど、近江八幡の繁栄を支えた。
 ◆荒廃と復活
 ただ、戦後は陸上交通の発達などから管理がずさんに。人工河川のため流れは一定でなく、昭和40年ごろには総量5万立方メートルのヘドロが堆積し、害虫の発生源になっていた。
 県や国は、堀を埋め立ててて駐車場などにする計画を進め、48年には県による埋め立て工事が始まった。
 それに対し、近江八幡商工会議所を中心に住民らが歴史的価値を見直すべきだとして保存運動を始めた。粘り強い署名活動などにより、県は50年に工事を中断。51年には堀の浚渫(しゅんせつ)工事が行われ、かつての景観を取り戻した八幡堀が復活した。
 八幡堀を守る会はその景観を市民たちの手で守ろうと63年に設立。月に1度、清掃などを行っている。会員は20人だが、活動の日は近隣住民など多くのボランティアも参加する。
 30周年の今年は、大雨で水位が上昇した際に流されることがあった川岸のハナショウブ(1500株)の保全に着手。川岸に設置した花壇に植え替えた。また、地盤浸食で一部が浸水した遊歩道を整備した。同会は「かつて荒廃させてしまった後悔を心に刻んで活動したい」とする。
 ◆ロケ地にも
 県観光交流局によると、八幡堀の近くにある日牟禮(ひむれ)八幡宮(同市宮内町)の平成28年度の観光客数は73万6900人。県内9位の観光地となった。堀沿いに建つ白壁の土蔵など風情を残す景観から、映画「るろうに剣心」やテレビドラマ「水戸黄門」などさまざまなロケ地にも使用されている。
 同会の苗村喜正会長(77)は「観光客も増え、空き家に商店が入るなど地元が活性化している。何より、近江八幡の歴史をつないできた堀を後世に残したい」と話した。
 同会は今月、記念誌「遺産を受け継ぎ未来へつなぐ」を製作。自然との共生を目指す気持ちを込め、八幡堀がヘドロと雑草で水面が見えなかった頃と現在の対比写真や、会の足跡などを書き込んだ。
 A4判、フルカラー54ページ。3千冊製作し、同市内各学区のコミュニティーセンターなどで無料で配布している。