情熱の歌人身近に感じて 生誕140年「与謝野晶子記念館」、秋から企画展

 

 歌集「みだれ髪」など、斬新で情熱的な作品で知られた堺市出身の歌人、与謝野晶子(1878~1942年)。生誕140年を迎える今年、注目を集めているのが「与謝野晶子記念館」(堺市堺区)だ。文学や教育など幅広い分野で活躍した晶子の魅力を発信している。

 晶子は和菓子商の三女として生まれ、多感な少女時代を堺で過ごした。歌の師で夫となる与謝野鉄幹と出会い、22歳で上京した。堺市博物館副理事の赤沢明さん(59)は「当時の古い因習を打ち破り、12人の子供を産みながらも芸術を極めた。特に女性に人気があります」と話す。

 与謝野晶子記念館は平成27年3月、同市ゆかりの千利休と晶子をテーマにした観光拠点施設「さかい利晶の杜」内にオープン。短歌や評論をはじめ、源氏物語新訳などの古典研究に取り組み、文化学院創設にも関わった晶子の軌跡をテーマごとに展示している。

 一流作家が手掛けた装丁で知られる晶子の本の表紙などを集めた書棚は壮観で見応え十分。在りし日の動画に加え、「源氏物語」や自作の短歌を朗読する肉声を聴けるコーナーもあり、晶子をぐっと身近に感じることができる。また店番をしながら本を読んでいたという生家・駿河屋の帳場も再現されている。

 同館が所蔵する資料は約1700点。企画展などで順次公開しているが、劣化防止のため複製品を展示することが少なくない。「戦前の紙資料が中心で、劣化対策が私たちの課題」と赤沢さん。

 近年目立つのはファン層の拡大だ。若者に人気の漫画「文豪ストレイドッグス」のキャラクターに取り上げられたことが大きい。同館の広報を担当する小林秀行さん(57)は「中高生など若者に広がったことはとてもうれしい」と歓迎する。

 晶子は全国を旅した。歌碑が残る場所も多く、赤沢さんは「晶子が残してくれた遺産。生誕の地として、全国のゆかりの地とネットワークを構築し交流したい」と話す。12月7日の晶子の誕生日に合わせた企画展を今秋から開催する予定だ。