【♯東北でよかった】宮城 「当たり前」に耳を傾ける - 産経ニュース

【♯東北でよかった】宮城 「当たり前」に耳を傾ける

 気象庁が「災害」と認識するほどの猛暑。じりじり肌を焼くような日差しを浴び、東日本大震災の津波に襲われた宮城県石巻市南浜町を歩いた。震災で長男を亡くし、語り部として活動する男性が案内してくれた。
 「とにかく逃げること。生きていれば必ず家族に会える」
 高台にある公園で男性は額をつたう汗を拭いながら何度も繰り返した。伝えたいメッセージはあまりにシンプルだ。だからこそ、はっとさせられる。
 「明日が来ることは奇跡。今を生きていきましょう」
 震災で両親を亡くした別の語り部の女性はニュージーランドの学生に英語でこう語りかけた。これも当たり前のこと。でも、普段は気に留めることもない。
 震災や津波の脅威を伝えるのは人だけではなく、遺構もそうだ。鉄骨だけの姿となり、津波の恐ろしさを伝える宮城県南三陸町の防災対策庁舎は周囲に木を植えて遺構として残す配慮がなされると聞いた。しかし、「別の配慮」がはたらいて、消えていく遺構もある。
 だからこそ、語り部の話に耳を傾ける。人は語り続けることができる。それは必ず、防災の基本、命の尊さを見つめる機会になる。(塔野岡剛)