インバウンド向け新航路、八代-天草で実証実験

 

 海外からのクルーズ船誘致に力を入れる八代港(熊本県八代市)で、新たな周遊プランの開発が進んでいる。20日から、八代海を挟んで対岸の天草地方へ、高速旅客船運航の実証実験が始まる。増加するインバウンド(訪日旅行)客の消費を地域経済活性化に生かそうとする試みだ。

 実験では、八代港と、天草諸島北部の上島にある前島港(同県上天草市)を船で結ぶ。クルーズ船の寄港日に合わせ、12月までに計8日間運航し、運賃は片道1千円。地元船会社「シークルーズ」が運航し、片道約30分で両港を4往復する。

 クルーズ船は停泊時間が長くても1日程度に限られる。八代港から上島までは、陸路だと約1時間半かかる。往復時間がネックとなり、熊本城(熊本市)や阿蘇山(同県阿蘇市など)に比べクルーズ船客の周遊ツアー実施が難しかった。

 インバウンド客は、旅先でのアクティビティ(遊び)を重視する傾向が強い。天草地方はイルカウォッチングやシーカヤックなどを売りにする。豊富な魚介類が水揚げされるため、食も魅力になる。

 八代港へのクルーズ船の寄港は、平成28年の12回から29年は66回と急増している。

 国土交通省は29年1月、官民が連携して港湾施設を整備し、寄港を促す「国際クルーズ拠点」に、八代港を選んだ。32年3月までに、22万トン級の超大型船が停泊可能な岸壁を整備する計画だ。完成後、寄港数は年間100~200回に増えると想定する。

 実証結果を踏まえ、本格運航の検討に入る。企画した観光振興会社「くまもとDMC」(熊本市)の野原大介氏は「1回の寄港で千人単位の客が動くクルーズ船は、大きな商機だ。海路だと、八代から天草までは最短で10キロに満たない。交通手段さえあれば誘客は十分可能で、地域の盛り上げに貢献したい」と語った。 (中村雅和)