貴重な木簡の削屑守れ 奈文研、専用容器を開発

 

 平城宮跡(奈良市)などで出土した木簡の薄片「削屑(けずりくず)」を保管するため、奈良文化財研究所(同市)などは、劣化の恐れがない中性紙を使った専用容器を開発した。削屑は当時、木簡を再利用した際に削られた文字の残る貴重な遺物だが、薄くてもろい。容器はこれを長期間安定して保存できる優れもので、すでに導入済み。概要は奈文研の「紀要2018」に掲載されている。

 奈文研が保管する木簡は約29万点、うち削屑は約24万点に及ぶといい、今後も増加が見込まれている。貴重な情報が盛り込まれているものもあるが、破損しないように守るのが困難で、保存方法が課題となっていた。これまで薄いガラス板に挟んで樹脂を使ったり、プラスチック容器を用いたりしてきたが、かさばる上に白濁し、恒久的な保存には適していないという。

 このため奈文研は、保存用品などを扱うラーソン・ジュール・ニッポン(東京)と共同で新たな容器を開発。幅21・9センチ、奥行き15・4センチ、厚さ1・2センチの薄い直方体で、中性紙を使用し、ふたは開閉可能になっている。内部には柔らかい薄葉紙のクッションが敷かれ、この上に10点程度の削屑を並べ、さらに薄葉紙で挟む。容器を20個収納できる外箱も作った。

 奈文研の渡辺晃宏・都城発掘調査部副部長は「削屑はしっかりと守っていくことによって、情報を引き出すことができる。まずは守らないと」と話している。