82種類の家紋を擬人化、図柄や由来も交えて紹介 奈良の出版社から刊行

 

 京都市の家紋研究家、森本勇矢さん(41)らが家に先祖代々伝わる家紋を擬人化し、図柄やその由来を交えて紹介するユニークな書籍「家紋無双(むそう)」(知楽社・税別1300円)を刊行した。日本固有の文化である家紋を後世に伝えようというプロジェクトの一環。墓に彫られている家の象徴で、デザイン性にも優れた家紋の魅力を国内外に発信したいという。

 家紋の起源は平安時代にさかのぼるといい、公家から武家、庶民へと普及。動植物や自然現象などを意匠化したもので、その種類は5万を超えるとされる。

 染色補正を家業とする森本さんにとって、着物に入っている家紋はもともと身近な存在だった。だが、平成23年の東日本大震災で多数の墓地が被害を受けたと知り「その家だけに伝わる家紋があったのではないか…」と痛感。全国にある家紋のデータを本格的に収集すべく「京都家紋研究会」を立ち上げ、愛好家らと活動を始めた。

 一方で、知楽社(橿原市)が20~30代の男女に調査したところ、自分の家の家紋を知っていたのは約21%にとどまった。同社は家紋文化の衰退を懸念し、家紋研究の第一人者といえる森本さんに書籍の出版を提案。約1年がかりで準備を進めてきた。

 今回出版された家紋無双では、意味や図柄から、82種類の家紋をそれぞれのイメージに合致するキャラクターに擬人化。分布図や由来も記しており、さまざまな視点から楽しめる。

 「藤紋」や「片喰(かたばみ)紋」、「鷹(たか)の羽紋」などとともに特に有名な十大紋に分類される「柏(かしわ)紋」のキャラクターは、愛らしい巫女(みこ)。植物紋では徳川家の「葵(あおい)紋」などが紹介され、坂本龍馬らが使った「桔梗(ききょう)紋」は最も美しい家紋と呼ばれるだけに、優美な女性をイメージしている。変わったものでは、キリスト教の十字架を意味するという「久留子(くるす)紋」も。

 森本さんは「個人が主体となっている今、子孫繁栄のためにも、もっと家を意識する必要がある。家を守るシンボルである家紋を伝えていきたい」と話している。