【黄門かわら版】「茨城ダッシュ」横行 - 産経ニュース

【黄門かわら版】「茨城ダッシュ」横行

 「茨城ダッシュ」-。決して胸を張って言える言葉ではないが、昨年5月に水戸に赴任して以来、何度聞いたことだろう。
 運動用語ではない。交差点を右折する際、信号が赤から青に変わる瞬間に対向車よりも先に右折することを指す。茨城特有の“交通ルール”と知ったときはゾッとしたが、県内ではさほど珍しくない光景だ。普段、待つことに平気な紳士淑女でさえ、ハンドルを握るといらいらを募らせるのはなぜか。
 現代人の日常は待つことの連続だ。芥川賞作家の藤原智美さんは著書『暴走老人!』(文春文庫)の中で「時代が待たなくていいように『便利』になればなるほど、『待つこと』のストレスは膨張し大きくなる。『待たされる』ことに過敏になる」と書いた。
 電車やバスに乗っているときは弱者や高齢者への配慮や気遣いができるのに、マイカーになると「公共性」をどこかに置き忘れ、待つことを極端に忌み嫌う。信号無視を平気で行い、適切な車間距離の保持ができなくなる…。
 「茨城ダッシュ」もドライバー同士に一定の了解がなければ、やがて重大事故を引き起こすことになる。悲しいかな、危険な運転は都会よりも地方都市に横行していないだろうか。
 余計なお世話かもしれないが、親の乱暴な運転に慣れっこになった子供がやがて免許を取ったときにどんな運転をするのか。推して知るべしである。 (日出間和貴)