夏休みでにぎわう潜伏キリシタン遺産 地元は登録効果持続へ知恵絞る - 産経ニュース

夏休みでにぎわう潜伏キリシタン遺産 地元は登録効果持続へ知恵絞る

観光客でにぎわう「天草の崎津集落」の崎津教会=熊本県天草市
 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)の世界文化遺産登録決定から、1カ月以上が過ぎた。夏休み期間に入り、関係地は来訪者でにぎわう。地元在住のガイドが工夫を凝らしたり、遺産を活用した企画が登場したり。「一過性に終わるのでは」との見方もある中で、登録効果を持続させようと関係者は知恵を絞る。
 ■案内予約は不要
 「小さな十字架が数多く出土しました。銃弾を溶かして作ったと考えられています」
 長崎県南島原市の観光ガイド5団体でつくった「有馬の郷」に所属する本多末光氏(71)は、写真や年表を示しながら、笑顔で観光客に歴史や価値を説明した。
 江戸時代初期の1637~38年、弾圧下のキリシタン農民が蜂起した「島原の乱」の舞台となった、長崎県・島原半島の「原城跡」だ。
 城跡に、長崎市街地の資産で知名度の高い「大浦天主堂」のような目立つ建物はない。だからこそ本多氏らは、配慮の行き届いた案内提供が呼び水になると考える。
 今年4月からは、事前予約をしていない観光客に対応しようと、土日祝日にメンバーが交代で常駐する。大人1人当たりの案内料金も500円に抑えた。有馬の郷によると、平成29年度の有料ガイド利用者は約2600人。本年度は400人以上増えるとみている。
 本多氏は「たくさんの人と話すことができ、生活にも張り合いが出る」と語った。
 ■挙式込み旅行商品
 熊本県で唯一の構成資産「天草の崎津集落」では7月28日の土曜日、増えた来訪者のために道案内や車両整理をする住民の姿があった。
 熊本市の観光会社「くまもとDMC」は、集落と連携し、崎津教会で結婚式を挙げられる旅行ツアーの募集を始めた。早速問い合わせたカップルもあり、秋に最初の挙式実施を計画中だ。
 同教会信徒会長の吉村恵美子氏(67)は「かけがえのない思い出をつくってもらうとともに、キリスト教や集落の歴史を知ってもらえたらうれしい」と歓迎する。
 ツアーでは、阿蘇地域といった他の県内観光地も巡ることができる。県全体の活性化を狙った旅行商品だ。
 ■注目いつまで?
 ただ、キリシタン遺産への注目がいつまで続くかは見通せない。
 平成26年に世界文化遺産となった富岡製糸場(群馬県富岡市)の場合、同年度の来訪者は前年度比約4倍の133万人となったが、翌年度からすぐに減少。29年度は63万人と26年度の半分を割り込んだ。
 群馬県世界遺産課は「1人当たりの滞在時間は延びているが、工夫し続けないと再訪してもらえない」と悩む。
 長崎県は今後、県外のキリスト教系学校を中心に、遺産の地を巡る修学旅行の提案に力を入れる。