佐賀・玄海町長選24日告示 新人2氏の争いへ ともに稼働賛成を表明 - 産経ニュース

佐賀・玄海町長選24日告示 新人2氏の争いへ ともに稼働賛成を表明

 任期満了に伴う佐賀県玄海町長選が24日、告示される。3期12年町政を担った岸本英雄町長は引退し、新人2人が立候補を表明した。町内に立地する九州電力玄海原発については、両者とも稼働賛成を明確にしている。原発をめぐる対立は回避され、地域活性化で論陣を張る選挙戦となりそうだ。 (中村雅和)
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 町議で岸本氏が後継指名した脇山伸太郎氏(61)と、4年前の町長選にも出馬した元町議、中山敏夫氏(63)の2人が、立候補を予定している。
 両陣営のパンフレットをみると「厳しい新規制基準に合格した原発は稼働すべきだと思っています」(脇山氏後援会)、「安全第一で玄海町は共存共栄をしていかなくてはならない」(中山氏後援会)とある。
 脇山、中山両氏とも「原発へのスタンスは、争点にならない」と断言した。
 反原発を訴える候補予定者は、今のところいない。
 3人が立候補した平成18年の町長選では原発が争点の一つとなった。玄海原発では当時、使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画が持ち上がっていた。
 共産系候補が計画反対を訴え、町外からも反原発派が大勢押しかけた。だが、得票は368票にとどまった。2424票を獲得した岸本氏が初当選した。
 22年は無投票で岸本氏が再選した。26年は反原発を訴える候補が立ったが、支援者が集まらず、街頭活動さえできなかった。
 今回の町長選について、共産党佐賀県北部地区委員会の担当者は「心の中で(反原発に出てほしいと)思っている人はいるだろうが、結果的に候補者は立てられない」と話した。
 九電が玄海原発1号機の設置許可を申請したのは、昭和45年5月だ。同50年10月に営業運転を始めた。
 玄海町は、半世紀にわたって原発と共存し、九州の電力供給を支えてきた。玄海町の多くの住民が、そのプライドを持つ。
 反原発派は、町長選への擁立を断念せざるを得なくなっている。
 ■現実的考え
 原発との共存は、自然にできたのではない。
 岸本氏は平成20年から、町民を集めた勉強会を続ける。米スリーマイル島など事故を起こした原発や、フィンランドにある使用済み核燃料の最終処分場も視察した。
 原発のメリット・デメリットを学ぶことで、「原発に対する現実的な考えを持ってもらう」ことを狙っている。
 23年3月の東京電力福島第1原発事故で、日本の原発政策は窮地に陥った。原発、電力会社、そして立地自治体への逆風が吹き荒れた。「原発マネーに群がる人々」といった悪質なレッテル貼りもあった。
 その中で岸本氏は、「電力がないという状況を、われわれが黙って見過ごすことはできない」と、原発の必要性を冷静に訴えた。
 臆せず政権批判もした。24年には当時の枝野幸男経済産業相(現・立憲民主党代表)について「会って、こちらの思いを伝えると『再稼働は必要です』と理解を示してくれるが、テレビを見ると『脱原発を進める』と正反対のことをおっしゃる。嘘をつかれたとしか言いようがない」と述べた。
 こうした努力が、原発への理解を広げ、再稼働への道をつくった。
 ■これからも
 今月までに玄海原発3、4号機が営業運転に入った。1号機は廃炉が決まった。2号機を運転延長するかどうかは、決まっていない。
 玄海町はこれからも、原発と共存していく。
 24日告示の町長選について、脇山氏は「原発による収入は先細る。今後はソフトを重視し、住民サービス拡大に努める」と訴える。
 中山氏は「現町政で人口が減少したのは事実だ。今までにない発想での活性化が必要だ」と強調した。
 町長選は29日に投開票される。