阿武隈急行活性化へ、沿線素材でビール醸造 地元学生がクラウドファンディング - 産経ニュース

阿武隈急行活性化へ、沿線素材でビール醸造 地元学生がクラウドファンディング

阿武隈急行活性化のための企画について話し合う福島学院大の木村信綱准教授(右)と同大の学生=同大福島駅前キャンパス
 利用者減少と累積赤字が問題になっている福島と宮城をつなぐ阿武隈急行(伊達市)の活性化のため、福島学院大の教員と学生が地元素材によるビール造りに乗り出す。一般からの出資を募ったところ目標額を越える盛況で、8月には出資者の元に届く予定だ。(内田優作)
 今年4月、クラウドファンディングサイト「マクアケ」で、「はちみつビール」の資金募集がスタートした。1口3500~2万円で、出資者には沿線の宮城県丸森町にある「石塚養蜂園」のはちみつを使った「仙南シンケンファクトリー」(同県角田市)のビールが届くという触れ込みだった。6月20日を期限として、246万円の目標額を設定したが、蓋を開けてみると287万4千円の資金が集まり、成功を収めた。
 阿武隈急行は利用者が平成7年の約325万人をピークに、28年は約252万人まで減少、累積赤字も約10億円に達するなど不振が続いている。沿線自治体などでつくる「阿武隈急行沿線地域活性化フォーラム」が活性化策を考えていたところ、旅館などの“若旦那”を通して地域を紹介する「若旦那図鑑」などユニークな取り組みで知られる福島学院大の木村信綱准教授に白羽の矢を立てたのが企画のきっかけになった。木村准教授は学科の2年生3人を選び、3月からグループでプロジェクトが始動した。
 グループは「阿武隈急行にかかわりがない人でも、阿武隈急行のためにお金を出したくなる企画にしよう」と、沿線の蜂蜜を活用したビール造りを企画。蜂蜜とビールという組み合わせが成功するかさえわからなかったが、伊藤有(たもつ)さん(21)は醸造会社と調整、「蜂蜜のコクと華やかな香り」というイメージを固めた。
 伊藤さんと酒井玲奈さん(20)は協力を求めるために沿線自治体にあいさつ回りもした。「成功するかどうかもわからない。みんなに声を掛けるのも大変だ」と言われたことも。それでも根気強く説得し、協力を取り付けていった。デザインを担当した阿部菜々子さん(19)も春休み期間を作業に充て、アイデアを練った。「既存のラベルを集めて分析、5種類のデザインを作った」と話す。ビールや蜂蜜の色を連想するオレンジがかった黄色の背景に、蜂が飛ぶラベルができた。
 そうした学生たちの努力はいよいよ、ビールという形になる。木村准教授は「今回の企画をきっかけに一人でも多くの人に阿武隈急行に乗ってもらえるようにしたい」と話している。