福島から聖火リレー 復興と感謝、世界に発信 「被災地発に意味」「現実見て」

 
石巻市総合運動公園にある昭和39年東京五輪の聖火台。市の出発地誘致は実らなかったが、「福島も石巻もない。お互い頑張ろう」との声が聞かれた=12日、宮城県石巻市(塔野岡剛撮影)

 2020年東京五輪の聖火リレーは福島から-。出発点に12日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた福島県が決まったことに、東北では同県と岩手、宮城の被災3県を中心に「被災地発ということに意味がある」「リレーを通して被災地の現実を広く見てもらいたい」といった声が上がった。各県は県内でのコースなどの検討を進める。

 福島出発地に決まり、県庁内では歓迎の一方、「大変なことになった」と重責に身を引き締める声もあがった。

 被災3県での順序について、内堀雅雄知事は「2県とは一緒に苦しみながら復興へスクラムを組んできた。心を一つに機運を盛り上げたい」と呼びかけた。「大切なことは光と影の両面を発信すること。複合災害の影響の大きさを感じてもらえる機会をどうつくるか検討したい」とした。

 野球・ソフトボールの一部試合が市内の「あづま球場」で開催される福島市の木幡浩市長は「スタートは浜通りの被災地か、一部競技が開催され『FUKUSHIMA』の名を冠する福島市がふさわしいのでは」と期待を込めた。

 浜通り地域の楢葉町は「力強く復興する県と双葉地方の姿をアピールできる絶好の機会。『復興五輪』の名にふさわしい取り組みになる」との松本幸英町長のコメントを発表した。

 今月、一部機能が再開するJヴィレッジを擁する広野町の遠藤智町長は「復興の中核拠点であるJヴィレッジから五輪を盛り上げたい」。浪江町の宮口勝美副町長も「聖火リレーは復興五輪の象徴として意義がある」とした。

 宮城昭和39(1964)年の東京五輪で使われた聖火台を借り受け、出発地に立候補してきた石巻市。県とともに誘致にあたってきた。

 聖火台のある同市総合運動公園近くの「仮設南境第7団地」に住む女性(35)は「期待していたので残念だけど、福島も大変な被害を受けたのでよかった。被災地発ということに意味がある」と話した。

 公園を通りかかった地村叶(かの)さん(75)は「福島も石巻も関係ない。お互い震災で被害を受けたから頑張っていこうという気持ち」、公園を訪れていた今野和雄さん(67)は「被災地は石巻だけではない。五輪、リレーを通して被災地の現実を広く見てもらいたい」と語った。

 石巻市の亀山紘市長は「残念だが、復興に向けて進む大きな力になり、喜ばしい」、村井嘉浩知事は「県はこれまで石巻市を出発地とするよう関係機関に要望してきた。残念だが、復興支援の感謝と復興した姿を世界に発信する機会になるよう、しっかりと取り組んでいく」とのコメントを出した。

 岩手陸前高田市の「奇跡の一本松プロジェクト」の代表を務め、震災直後に市のスポーツドームで避難所を運営した市体育協会の前事務局長でササキスポーツ社長の菅野修(かんの・おさむ)社長(64)は北海道から聖火が回ってくるルートに、「(先月22日に)宮古-室蘭間に就航したフェリーで聖火を運び、宮古から南北に二手に分かれてリレーする方法もある。三陸沿岸の被災地をくまなく回るコースを設定し、被災地の将来を担う子供たちを少しでも多くランナーに選んでほしい」と話した。

 宮古市の山本正徳市長も「北海道からのルートはフェリーを使っていただきたいと期待しています」とのコメントを発表。大船渡市の戸田公明市長は「被災地の復興状況を支援への感謝を込めて、広く発信できるよう、市としても全面的に協力していきたい」と県内でのコースに選ばれることに期待感を示した。

 達増拓也知事は「聖火リレーは、国内外からいただいた支援に対する感謝を伝えるとともに、復興に向けて取り組む姿を全世界に発信する絶好の機会ととらえている」とのコメントを出した。