子供の心に向き合う専門医 長崎大など育成講座…症状や親との接し方指導 - 産経ニュース

子供の心に向き合う専門医 長崎大など育成講座…症状や親との接し方指導

長崎大病院の一室で開かれた「子どもサポート精神科医」育成講座=4月、長崎市
 児童青年期の対処が重要な発達障害や精神疾患を深く学ぶための医師向け講座を、自治体と大学が協力して設ける動きが広がる。専門医は全国的に少ない上、都市部に集中しているからだ。子供の心と向き合える医師を、地方で育成し増やすための模索が続いている。
 4月中旬の正午すぎ、長崎大病院(長崎市)の一室。県内の若手医師ら約20人が弁当を手に集まった。長崎県の助成を受け、同病院が平成28年度から始めた「子どもサポート精神科医」育成講座だ。
 担当の今村明教授(児童精神医学)や臨床経験を積んだ精神科医らが月1回、発達障害や鬱病などをテーマに通年で講義する。
 症状の特徴に加え、子や親との接し方も指導する。離島などにいる受講希望者のため、インターネット中継もある。今年3月末までに延べ約830人が受講した。
 県は、そのうちリポートを提出した22人を「子どもの心のサポート医」に認定した。「ホームページに認定資格を掲載してもらえば、専門的な知識を持つ医師を住民が見つけやすくなるのでは」と、担当者は独自制度の利点を説明する。
 長崎県での取り組みの背景には、15、16、26年と少年少女が幼児や同級生を殺害する事件が続いたことがある。
 司法の精神鑑定は、いずれの加害者にも、人間関係を築く能力や他人への共感を欠いた特性があると指摘した。中には、こうした特性が強いとして発達障害と診断したものもある。
 家裁は少年審判の決定で「(障害と)犯行は直結しない」と強調したが、同じ年頃の子を持つ親たちや児童と関わる関係機関の人々は大きな衝撃を受けた。
 加害者が幼少期に適切な対応を受けられなかったことが、何らかのかたちで事件に影響したのではないか-。長崎での取り組みの根底には、こうした問題意識がある。
 日本児童青年精神医学会によると、全国に同学会の認定医は今年4月現在で約340人いるが、都市部に集まっているという。県と長崎大病院は、講座のネット中継で偏在解消を目指す。
 北海道大や北里大医学部(相模原市)、福井大なども昨年までに、地元自治体と協力して長崎と同様の講座を始めた。
 信州大医学部(長野県松本市)は今春、県内の精神科医らを対象に研修カリキュラムを立ち上げた。今後、受講者が学校関係者と情報交換する場もつくる計画だ。
 同学部の中沢洋三教授(小児科)は「日頃から子供たちを近くで見ている教諭と医師が協力することで、より早い支援につながる」と語る。