玄海4号機再稼働 九電悲願の原発4基復帰も即時値下げは困難 - 産経ニュース

玄海4号機再稼働 九電悲願の原発4基復帰も即時値下げは困難

再稼働した九州電力の玄海原発4号機
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)4号機が16日に再稼働したことで、九電は悲願の原発4基体制に復帰した。九電は瓜生道明社長の下、原発再稼働で全国の電力会社をリードしてきた。間もなく就任する池辺和弘・次期社長は、この「資産」を引き継ぎ、再編機運も高まるエネルギー業界へ乗り出す。(九州総局 中村雅和)
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 玄海3、4号機の再稼働によって火力発電所の稼働を抑制できる。九電は月110億円の燃料費削減効果があると算出する。
 だが、電気料金の本格値下げは難しい。
 九電は平成25年4月以降、工場など大口向けで平均11・94%、家庭向け6・23%の値上げに踏み切った。23年の東京電力福島第1原発の事故後、長期の全原発停止によって、財務内容が悪化したため、苦渋の決断だった。
 値上げ幅の算出は、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機と玄海3、4号機の計4基が25年度中に再稼働することを前提にしていた。
 玄海4号機の再稼働は、九電の経営上、プラスが生じたのではなく、マイナスがゼロになったことを意味する。即時の料金値下げは、現実的ではない。
 「関西電力は値下げした」との批判もある。確かに関電は、高浜原発や大飯原発(ともに福井県)の再稼働に合わせて、昨年8月に家庭向け料金を平均3・15%引き下げ、さらに今年7月から4・03%下げる。一見、関電に比べて九電は、値下げを惜しんでいる印象がある。
 だが、関電は原発停止中の25年に9・75%、さらに27年に8・36%(いずれも家庭向け)の値上げをしていた。
 これに対し九電は「九州の経済活動にご迷惑かける」(瓜生氏)と、1度目の値上げ幅は家庭向け6・23%と最小限にし、再値上げはしないよう耐えた。九電の電気料金は、全国平均より7%ほど低い水準を保った。
 その間、九電は赤字決算が続いた。いわゆる内部留保の取り崩しはもちろん、社員の賞与カットなど徹底した効率化で対応した。
 住民の日常生活、そして経済活動を支える安価な電力を、文字通り、血の滲(にじ)むような努力で守ったといえる。九電社内には「こうした努力を、もっと知ってもらいたい」との声がある。
 ただ、九電の置かれた環境は、甘いものではない。
 すでに始まった電力販売の全面自由化に加え、32(2020)年には発電と送配電部門を分ける「発送電分離」が始まり、総括原価方式が廃止される。どちらも電力会社の経営の根幹に関わる。
 さらにガス会社も加えたエネルギー業界の合従連衡も進む。
 池辺次期社長は、この厳しい舞台にあがる。原発4基体制で戦いの準備は整った。