長州「正論」懇話会 外信部・矢板次長講演要旨 米朝首脳会談「裏に米中の戦い」 山口 - 産経ニュース

長州「正論」懇話会 外信部・矢板次長講演要旨 米朝首脳会談「裏に米中の戦い」 山口

 山口県下関市の市生涯学習プラザで15日に開かれた長州「正論」懇話会の講演会。産経新聞外信部の矢板明夫次長は、シンガポールで開いた米朝首脳会談を起点に国際情勢が流動化すると指摘し、米国に頼らない安全保障の確立を訴えた。講演の主な内容は次の通り。
 米朝首脳会談は、トランプ米大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が主役にみえるが、裏には米中の戦いがあった。
 会談で一番得したのは、中国の習近平国家主席だ。トランプ氏は、米韓の軍事演習中止や在韓米軍の縮小に言及した。
 在韓米軍は中国に、にらみを利かせている。撤退すれば、北東アジア、朝鮮半島における中国の軍事的影響力が一気に大きくなる。これは日本にとって大きな脅威だ。
 金氏が周辺国(の首脳)で会っていないのは日本だけ。日本は拉致問題があり、北朝鮮と関係を修復するのにハードルがある。日本だけ、北朝鮮にとって仮想敵国であり続ける。
 この結果、(中国を中心に)他の国が日本包囲網を築き、日本が危機的状況に陥るかもしれない。
 米国はあまり信用しない方がいい。トランプ氏は安倍晋三首相と個人的な友情関係があるが、他の総理大臣になったら、日米関係はおかしくなる。トランプ氏のツイッターは、米国メディアなどへの批判ばかりで、アジアへの言及がない。極めて国際社会に興味がない。
 日本は、これまで米国の協力でできたことが、今後はできなくなるかもしれない。関係が良好な安倍政権の間に、やらなければいけないことは多い。米国が面倒をみなくなっても対応できるよう、準備をしないといけない。
 中国の話だが、習主席と李克強首相は極めて仲が悪い。経済対策をめぐり2人の発想は完全に違う。権力闘争は今後も続く。習政権は中国経済が良い状態だからもってきたが、これからは厳しくなる。海外からの投資が来なくなっており、米国との貿易戦争もある。
 中国は周辺国との関係もかなり悪い。韓国とは、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備問題。インドとは国境で軍が対峙(たいじ)し、東南アジアとは南シナ海で対立している。四面楚歌(そか)の状況だ。
 中国と仲が悪い国の指導者は、安倍首相と仲良くなろうとする。首相はいつの間にか、「反中」の総親玉みたいになった。中国は、外交環境改善には日本との関係修復しかないと思っている。それは日本にとってチャンスだ。
 対中外交で日本がやらないといけないのは、人権問題だ。中国はひどい人権弾圧の状況にある。今、国際社会では人権問題のリーダーがいない。中国や北朝鮮の人権問題を発信すれば、中国の知識人や国際社会がみる日本の印象が変わり、日本の国際的な地位は高まる。