障害者雇用をテレワークで 地方の人材に高い期待 - 産経ニュース

障害者雇用をテレワークで 地方の人材に高い期待

北海道旭川市の自宅で勤務し、東京オフィスの社員とインターネットを通じて会話する蓑輪一真さん (価値住宅提供)
 職場外で働く「テレワーク」を活用した障害者雇用に注目する企業や自治体が増えている。通勤が難しく、体調が不安定でも、ITを使って自宅や遠隔地で仕事が可能になるからだ。人手不足が進む都市部の企業は、地方で人材を確保する手段として期待を寄せている。
 周囲気にせず仕事
 北海道旭川市の蓑輪一真(みのわ・かずま)さん(32)は平成29年12月から、東京の不動産業「価値住宅」の非正規社員として、1日7時間、週3日働いている。インターネットで不動産情報を集めたり、パソコンで間取り図を作成したりするのが主な業務だ。
 蓑輪さんは15年ほど前に精神疾患を発症。数年前に一度就職したが症状が悪化し、半年ほどで退職した。その後通っていた就労支援団体のスタッフにテレワークを勧められ、29年秋に旭川市の関連イベントに参加。就職につながった。
 パソコンは、同社が必要なソフトなどをインストールして蓑輪さんに貸与。勤務中は東京の同社オフィスとインターネットで常時つながっており、いつでも会話できる。「オフィスにいるような感覚。体調が悪くても自宅なら多少の無理が利くし、周囲を気にせず仕事ができる」と蓑輪さん。できるだけ長く同社で働くのが今の希望だ。
 採用難で企業が関心
 厚生労働省の委託で障害者テレワーク推進事業を行うコンサルタント会社「テレワークマネジメント」によると、障害者の在宅雇用に関する問い合わせは増えている。29年11月に東京都で開いた企業セミナーは120人の枠がすぐに埋まった。
 企業の関心が高まっている背景には、法定雇用率(従業員のうち障害者が占める割合)が今年4月に2・2%に引き上げられ、新たに精神障害も対象になったことがある。首都圏では企業が求める障害者雇用枠の社員が不足しつつあり、地方で人材を確保するための手段として、注目が集まっているのだ。
 労働人口そのものが減っている影響もある。障害者雇用を義務付けられているのは従業員45・5人以上の企業だが、規模にかかわらず、企業の関心は高いという。蓑輪さんが働く価値住宅も社員は20人未満。高橋正典社長は「これから中小の採用難は強まる。テレワークは必須」と話す。
 地元機関と連携で
 行政も注目する。北海道旭川市は28年度から企業向けの説明会を開いて障害者のテレワークを推進。これまでに市外の民間企業2社で21人が採用された。高知県も28年度から推進事業を実施しているほか、福岡県も31年度の事業開始に向け、検討を始めた。
 テレワークマネジメントの倉持利恵相談員は「遠隔地の社員の体調変化を心配する企業は多いが、地元の障害者就労支援機関と連携すれば、対応は可能」と説明し、「企業は業務の任せ方を工夫したり、社員の受け入れ姿勢を整えたりすることが大切だ」と強調した。
                   ◇
【用語解説】障害者の雇用
 障害者雇用促進法は、民間企業や国・自治体に、一定割合以上の障害者を雇うよう義務付けている。割合は法定雇用率と呼ばれ、4月1日の改正法施行で、従業員45.5人以上の企業は2.2%、国や自治体は2.5%になった。平成32年度末までに、さらに0.1%ずつ引き上げられることが決まっている。法定雇用率が低い企業は行政指導を受けるほか、従業員が100人を超える場合は、不足人数につき1人当たり月5万円の納付金を課される。