医師公募、破格条件でも集まらず断念 青森・深浦町 年収は2200万円 - 産経ニュース

医師公募、破格条件でも集まらず断念 青森・深浦町 年収は2200万円

町の新たな医療拠点として、1日から業務を始める深浦診療所=青森県深浦町
 深浦町が過疎地の医師不足に直面した。1日から業務を始める新たな診療所「深浦診療所」に勤務する医師を3年かけて破格の条件で公募したものの1人も採用できないまま断念。結局、町内に勤務経験のある医師に依頼し、開業にこぎつけた。全国的にも医師が1人もいない「無医村」や医療機関へのアクセスが難しい地域は少なくない。地方や過疎地が抱えている医療の現実をこの町のケースが如実に映し出している。 (福田徳行)
 ◆常勤1人のまち
 人口8300人余(4月末)の同町には平成25年度まで町営の2つの診療所に3人の医師が勤務していたが、26年度から常勤医(69)1人の状態が続いていた。
 医療体制の整備が喫緊の課題となる中、町は27年、中心部の高台に複数医師体制の新診療所整備基本プランを策定し、公募で医師を確保することになった。
 町が提示したのは年収2200万円、無料の住宅提供、家賃以外に光熱費、学会への参加費と旅費ともに町が負担するという厚遇ぶり。いったんは2人の医師が応募したが「家庭の事情など条件が合わなかった」(同診療所の小山司事務長)ことから辞退されたという。
 ◆待遇よりも実績
 町は公募を断念。新診療所の開設が控えていたことから、25年度まで勤務していた76歳の医師に戻ってもらい、現在の常勤医と合わせて2人体制を確保、内科と外科の診療に当たってもらうことになった。
 だが、2人の医師は経験値が高い一方、高齢であることに変わりはなく、先行きへの不安も残る。
 「若い医師は都市部の設備が充実した医療機関で腕を磨き、専門分野を極めたいと思っている。郡部ではやはり無理だ」
 小山事務長は過疎地の医療が抱える問題を訴える。ある開業医も「若い医師は将来に備えて実績を積みたがる。待遇ではない」と意識の違いを強調する。
 ◆広域連合に期待
 都市部に比べ交通アクセスや教育環境が整っていないことも若い医師が二の足を踏む理由だ。「自然景観という魅力はあるが、それだけで若い人は集まらない。特に子供がいる人ならなおさら」と小山事務長。
 同町は五所川原市など2市4町でつくる「つがる西北五広域連合」を構成する自治体の一つで、小山事務長は「町だけで医師を集めるのには限界がある。広域連合からの医師派遣や情報提供などをしてもらい、医師確保に努めていきたい」と話す。
 医師不足や偏在は深刻な問題だ。28年の厚生労働省の統計によると、青森県の人口10万人当たりの医師数は198人で、全国平均の240・1人を大きく下回る。
 県は弘前大の学生に対し、卒業後の県内勤務を条件に医師修学資金の免除やU、I、Jターンによる医師確保などの対策を進めているが、効果は未知数だ。