九州産野菜、注文1時間で家庭へ 宮崎のベンチャー運営、アプリが首都圏で人気

 

 九州産の新鮮な野菜を、注文から最短1時間で東京都心の家庭に配達するスマホアプリ「ベジリー」が人気を集めている。宮崎県綾町に本社を置く農業ベンチャー「ベジオベジコ」が運営する。安心できる野菜を食べたい富裕層の需要を捉え、栽培農家にとっても収入増につながると、期待されている。

 「野菜の魅力を発信し、農家がもうかる仕組みをつくりたかった」

 宮崎市出身で社長を務める平林聡一朗氏(26)は、こう語った。有機農法など生産者がこだわってつくる九州産の野菜を主に仕入れて、いったん都内の温度管理ができる倉庫に保管する。注文を受けると、バイクを使い配達する。港区や渋谷区では、最短1時間で宅配する。

 平成29年1月にサービスを始めると、手軽さから口コミで人気が広がった。この1年で、売り上げは約15倍になった。都内の下町に店舗も構えた。来店者に野菜の魅力を発信している。

 ■地元貢献

 平林氏が野菜に関わる仕事を始めたのは、約5年前だった。

 当時、都内の私大に通いながら、宮崎県の野菜や果物をスムージー用のセットとして販売する事業を始めた。きっかけは23年の東日本大震災でボランティアをした経験だった。被災地に通う中、地域の復旧に向けて懸命に前を向く人に接し、自らも「地元に貢献したい」との気持ちが高まったという。

 当初は農家を志望したが、インターンとして勤務した地元企業の社長から「より多くの農家を幸せにできる仕事をしては」と助言を受け、農家経営の支援ビジネスを思い立った。

 仕入れから配達まで、全て自社で担うことで流通経費を抑えた。その分、農家の売り上げが増える。取引先の中には、売り上げが3割以上増えた例もあるという。

 ■就農後押し

 アプリや都内で営む店舗では、農家の名前や栽培方法の紹介を添えて野菜をPRする。魅力を伝えることで付加価値を生み出す仕組みだ。綾町でニンジンやゴボウなどの有機野菜を生産する郡文則氏(62)は「自分らのつくる野菜の価値に気づかされた」と満足げに語った。

 平林氏らは30年1月、町内の休耕地を活用した野菜づくりの挑戦も始めた。高齢などで畑を維持できない農家の土地を借り受け、農業を志す若い世代の就農を後押しする。

 「技術は教えてもらえ、販売先もある。農業を始めるハードルを低くしたい」。若手農家が続々と活躍する未来を見つめている。