ロックフェスの経済効果に期待 宿泊など地域連携、観光資源へ 秋田 - 産経ニュース

ロックフェスの経済効果に期待 宿泊など地域連携、観光資源へ 秋田

 秋田県内で大型の野外ロックフェスティバルが相次いで開かれる。7月の「男鹿ナマハゲロックフェスティバル(ONRF、男鹿市)」と県出身のシンガー・ソングライター、高橋優さん(34)が主宰する9月の「秋田CARAVAN MUSIC FES」(仙北市)だ。ともに回を重ねて県外からもファンが多く訪れるフェスに成長。ONRFでは尚美学園大学(埼玉県川越市)が経済波及効果を11億円超と試算、地域おこしにも期待がかかる。 (藤沢志穂子)
 ◆男鹿は11億円の効果
 ONRFは7月28~29日、JR男鹿駅から徒歩圏内の船川港内で開催する。男鹿市出身の企画会社経営、菅原圭位さん(49)が米国留学中に知り合ったバンド「山嵐」と「男鹿の地域おこしをしたい」と平成19年に立ち上げ、23年から船川港を会場としている。ボランティアで運営されているのが特徴で、今年は山嵐のほかオレンジレンジなどの出演が決定。男鹿温泉郷の旅館とセットにした宿泊プランや、会場を結ぶシャトルバスも企画している。
 昨年は7月末の2日間で計1万5千人を動員、半数が東北地方や東京などの県外客だった。尚美学園大学の江頭満正准教授によると昨年の経済波及効果は11億3400万円。交通費や観光費、チケット代が主な項目だ。菅原さんは「4年前から単年度黒字を達成。今年はマラソンのイベント開催と重なり、宿泊施設の不足が予想されるので、民泊を検討している」と話す。
 一方、琉球銀行系のりゅうぎん総合研究所(那覇市)は沖縄県の宮古島で毎夏、開催される「宮古アイランドロックフェスティバル」の経済波及効果を試算した。一昨年の実績では1日で約7400人を動員、その効果は約4億3800万円となった。4割強が県外客で、県外の主催者に入るチケット代を除いた「純粋に地元に落ちるお金」で交通、宿泊、観光、飲食、土産品などが中心だ。上原優奈研究員は「地域への経済波及効果は大きい。宿泊施設の客室数の確保、航空路線や公共交通機関の拡充が今後の課題」と話す。
 ◆新幹線の臨時運行も
 2つの地域フェスの試算からは、7千~8千人の動員で地域に4億~5億円の経済波及効果がある様子が浮かび上がる。そこで秋田で期待がかかっているのが高橋優さんのフェスだ。高橋さんは「音楽で秋田を盛り上げたい」と一昨年夏、故郷の横手市を皮切りに県内13市を回るフェスを開始。3回目の今年、仙北市田沢湖生保内の野球場で9月1~2日に開催する。
 昨年9月の由利本荘市の開催では、2日間で計1万6千人を動員。シンガー・ソングライターのスガシカオさんと「夜空ノムコウ」での共演も実現した。ただ会場の鳥海高原花立牧場はJR秋田駅からシャトルバスで1時間半以上と交通が不便で、周囲に宿泊施設が少ない難点があった。
 今年の会場は新幹線の停車駅でもあるJR田沢湖駅から徒歩圏内、周囲に乳頭温泉など宿泊施設も多い。仙北市の門脇光浩市長は「全国からお客さまに来てほしい」と観光客誘致を狙う。JR東日本秋田支社は昨年に続き、新幹線の臨時列車の運行を検討しており、前回以上の経済波及効果が期待できそうだ。
 野外フェスの元祖は1969年8月に米ニューヨーク郊外で行われた「ウッドストック」。日本では平成9年から開催されている「フジロックフェスティバル」が地方開催の契機となり、全国各地で開かれるようになった。CDなどの売上高が低迷する中、興行収入が音楽市場の柱になってきた背景もある。
 江頭准教授は「ロックフェスには音楽と非日常を楽しむ要素があり、短期間で大人数を集客する観光資源となる。宿泊を伴う観光客誘致など、開催地域との協力体制を構築し地域活性化を進める必要がある」と分析している。