協和精工(秋田県羽後町) 高級腕時計を自社製造

みちのく会社訪問

 「ブランドを知り尽くした人がたどりつく高級腕時計」とも評される「MINASE(ミナセ)」。製造工場のある秋田県湯沢市皆瀬の地名を冠している。切削工具メーカーとして創業した協和精工が研磨の技術を生かし、ケースの中に文字盤を入れたケースが入る「ケース・イン・ケース」と、外側に「窓」を設けた独自の立体構造が脚光を浴びた。東京の百貨店など県外での販売高が伸び、羽後町のふるさと納税の取扱品としても人気が高い。

 昨秋から海外進出を本格化させており、7つの窓を持つ新作「セブンウィンドウズ」(日本円で約110万円)をドイツのミュンヘンでの展示会に出品。4月から欧州で販売を開始し、同11日にはスイス・ジュネーブの高級腕時計専門店「ラ・メゾン・ド・オロジュリー」で発売記念イベントを開く。「『海外に認められた時計』としてのブランドイメージを高めたい」と鈴木豪社長(46)。

 創業は55年前、鈴木社長の父で現在、同社最高顧問で羽後町出身の耕一氏(74)が集団就職先の東京で、機械部品とドリルなど工具の製造メーカーとして創業した。腕時計のケース製造に参入し、国内の大手メーカーに供給。次第に宝飾品ブランドなど相手先の時計製造(OEM)を手がけるようになり、平成17年に自社ブランド「MINASE」を立ち上げた。

 従来は時計の駆動装置(ムーブメント)をスイスから仕入れていたが、海外進出にあわせ自社製造に切り替えた。外部から技術者を招き皆瀬での研究が続いている。(藤沢志穂子)

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 ◆鈴木豪社長(46) 海外販売、手応え確信

 --海外販売の手応えは

 「『セブンウィンドウズ』を昨秋、ミュンヘンの展示会に出したところ反応が良く、中東や中国、アジア諸国からも引き合いがある。海外でも十分、通用するとの確信を得た。サファイアガラスにスケルトン構造のデザイン性、防水などの機能性を両立させた自信作で、彫金師が好きな漢字一文字を彫刻するオーダーメード型モデルも用意、海外向けに今春から40個を受注生産する。国内では今年の冬から販売する。『ほかに誰も持っていない』希少性も打ち出したい」

 --ムーブメントの自社製造はチャレンジでは

 「時計業界の技術者を顧問として招き、試行錯誤しながら進めている。職人が手作業でケースの美しい鏡面を生み出す『ザラツ研磨』や、工具も作れる技術を生かし、独自性を強調したい。現在はメンズ中心の品ぞろえだが、レディースも増やしていきたい」

 --「MINASE」飛躍のきっかけは

 「10年ほど前に全国放送のテレビ番組の『修理特集』で紹介されたこと。時計のベルトの金具は、傷んだ部分のみ分解して修理・交換が可能で『100年後も使える腕時計』との点が注目された。組木細工にヒントを得た独自の『MORE構造』を使っている」

 --二代目社長としては

 「現在は羽後町の本社工場、湯沢市皆瀬の腕時計製造工場、千葉県柏市の営業所と3拠点ある。柏は父が集団就職で上京した際に最初に働いた場所。羽後町に戻ってきたのは、地元の雇用創出に貢献したいとの思いがあってのことだった。日本の『秋田発』で海外に飛躍したい」

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 ◆企業データ

 秋田県羽後町林崎字三ツ盛34の1。昭和38年創業。精密刀工具、腕時計製造販売。資本金1千万円。従業員87人。平成29年9月期の売上高10億円。(電)0183・62・4566。https://kyowaseiko.co.jp/