「3・11」と「9・11」の系譜

もう一筆

 ニューヨーク(NY)を短い休暇で訪ねた。現地の大学院に研究生として留学して以来、ほぼ10年ぶりの再訪だ。目的の一つは、米同時多発テロが起きたワールド・トレード・センター(WTC)跡地に4年前に開館した「メモリアル・ミュージアム」見学だった。

 2001年9月11日に米国で何が起きたのか、ミュージアムは克明な記録を残している。WTCが崩れる直前、犠牲者が家族に電話で残した音声、遺品やビルの残骸、メディアの報道、テロ組織の解説まで。展示に見入るうち3時間がたっていた。世界中から観光客が長蛇の列を成す。テーマは「Recovery After Loss(喪失の後の再生)」という。

 私がNYに滞在していた06~07年、WTC跡地はまだ更地だった。「テロ5周年」の節目で当時、関連映画2本が公開された。1つはWTCで活躍した消防士を、もう1つはハイジャック機内を描いていたが、評判は芳しくなかった。周囲の学生たちは「犠牲者の家族や友人が、そこかしこにいる。振り返るのは早すぎる」といった反応だった。テロからミュージアム完成までは十数年。冷静に見つめ直すのに、それだけの年月がかかったことになる。3月11日で東日本大震災から7年。テロと自然災害は違うし「まだ早い」のかもしれない。だが後世に伝えるべき何かを残し、結果として人々の集まる場所ができるかどうか、考え始めてもよい時期ではないだろうか。(藤沢志穂子)