安藤醸造(仙北市) 自社レストランで楽しむ老舗の味

みちのく会社訪問

 創業165年を数える秋田・角館の老舗、安藤醸造(仙北市)は醸造商品の製造・販売に加え、飲食店も展開している。旗艦店の北浦本館(同)内レストラン「土鍋屋」では、自社のみそ・しょうゆの風味を生かした「土鍋ラーメン」が人気。セットのご飯のコメは自社農場産で、漬物が食べ放題の「がっこバー」と相性が良い。「若い人たちにもっと知ってほしい」と6代目の安藤大輔社長(58)。

 安藤家は角館の地主として代々、醸造業を営み、高度経済成長期に売上高を飛躍的に伸ばす。だが次第に「コメ余り」の時代となり白米と一緒に親しまれる醸造商品の需要が低迷する。

 転機は昭和45年。同年の大阪万博を契機に、当時の国鉄が女性を主なターゲットに個人旅行客の増加を狙ったキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」を実施、角館が「みちのく小京都」の観光地として脚光を浴びたことだ。57年の東北新幹線開業、平成9年の秋田新幹線開業で人気はさらに高まり、武家屋敷に国内外の観光客が押し寄せる。

 商機とみた安藤醸造は、自社製品を味わえる飲食店を併設した店舗を計画。8年に北浦本館をオープン、22年にリニューアル。27年に本店に隣接する築120年の蔵を改修した「マルヨ蔵 麹くらぶ」をオープン。醸造の要でもある麹を軸に、甘酒など軽食も提供する。現在は仙北市内に4店を構える。時代に合わせて商品も改革、アミノ酸などのうまみ調味料を独自に融合し「誰もやっていない味を作り上げた」(安藤社長)。今後は関東地方の専門店や、販売サイトでの取り扱い拡大も目指す。 (藤沢志穂子)

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 ■企業データ 

 秋田県仙北市角館町下新町27。嘉永6年(1853)創業(会社設立は昭和25年)。みそ・しょうゆ醸造業、卸小売業、飲食店経営。資本金2000万円。従業員72人。平成29年3月期の売上高7億4200万円。(電)0187・53・2008。www.andojyozo.co.jp

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 ■安藤大輔社長(58)、角館への誘客強化

 --角館町観光協会の代表理事を務める

 「仙北市内の田沢湖、西木町の観光協会と4月に合併することが正式に決まり昨年11月に調印式を行った。効率的な運営を図り、地域としての魅力を向上する狙いがある。今後はさらに外国人観光客誘致を強化していく。特に台湾では北海道の次に東北地方への関心が集まっており、秋田空港からのチャーター便も増えた。観光業は飲食や宿泊、物販など産業としての裾野が広く、歴史を残しつつ、トイレは現代的にするなど、フルサービスでリーズナブルなビジネスモデルを作っていきたい」

 --東日本大震災で落ち込んだ観光客の動向は

 「人数は震災前の水準に戻ってきたが、売上高が追いつかない。残念だが関西方面では、東北地方に対する放射能汚染のイメージがまだ残っている様子だ」

 --角館は桜や紅葉の時期は大勢の人が訪れる

 「武家屋敷を見て他の地域に移動するお客さまが多い。お昼ご飯を食べるなどで滞在時間を延ばしてほしい。歴史ある商家が並び、弊社本店のある『商人町』にも寄って、新しい魅力を見つけていただけたら」

 --醸造商品の将来性は

 「高齢者は料理がおっくうになり、ご飯を炊かずパン食に移る傾向があり、このままだと醸造商品も消費が先細る。なので若い世代への遡(そ)及(きゅう)は課題。自社商品を調味料に使った、北浦本館のレストラン『土鍋屋』は好調だ。コメも調味料もつくる弊社にとって、食事を提供するのは自然な流れ。県外での販売店開拓、卸売りやインターネット販売にも進出するなど情報発信を積極的に進めたい」