北漂着遺体、男鹿の寺で供養「分け隔てなく」 米紙報道、共感広がり寄付も

 
小嶋良宣住職と、北朝鮮から漂着したとみられる遺体を荼毘に付した遺骨=昨年12月26日、秋田県男鹿市の洞泉寺(藤沢志穂子撮影)

 北朝鮮から男鹿市の海岸沿いに、昨年11月から12月にかけて漂着した遺体を火葬した遺骨10体が、同市の曹洞宗洞泉寺に安置されている。市の委託によるもので「分け隔てなく供養するのが仏教の教え」(小嶋良宣住職)との姿勢が共感を呼び、米紙ニューヨーク・タイムズなど海外でも報じられた。 

 洞泉寺の本堂では、他の無縁仏と一緒に、白い布に覆われた10体の遺骨が供養されている。

 同寺には「かわいそう」との声が多く寄せられ、埼玉県の在日朝鮮人の女性から「供養してもらってありがたい」と1万円の現金書留が送られてきた。

 小嶋住職は「同じ人間で、悪いのは国の体制であって国民ではない。曹洞宗では不本意かもしれないが、供養したい」と話す。その様子は米紙ニューヨーク・タイムズ昨年12月8日付の紙面で大きく報道された。

 洞泉寺では男鹿市の委託を受け、身元不明で市が火葬した遺骨を供養してきた。これまでは年間4~5体のペースで過去、北朝鮮からとみられる遺骨もあったが、今回のような10体もの遺骨は初めてという。

 北朝鮮からとみられる遺骨は、海上保安庁が検視の際、身元特定のため、衣服や体格の形状、爪などから採取できるDNAの情報を保管している。

 日本赤十字社では人道的観点から過去、北朝鮮から漂着したとみられる遺体について、発見された自治体を経由して海保の情報提供を受け、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を通じて、朝鮮赤十字会に遺骨を返還してきた。今回の遺骨も、日本赤十字社秋田県支部が男鹿市に情報を照会している。

 小嶋住職は「北朝鮮に返されたら、どんな扱いを受けるか分からない。寺で供養する方が故人のためではないか」と話し、ゆくゆくは境内の無縁仏用の墓所に納めたいとしている。(藤沢志穂子)