寒ブリ不漁 富山県が電子タグ使い回遊ルート調査

 

 冬の富山湾名物「寒ブリ」の漁獲量減少に悩む富山県が、電子タグを使ったブリの回遊ルート調査に乗り出した。近年、富山県とは対照的に太平洋側での漁獲が増えており、県は「日本海のブリが津軽海峡を通り太平洋を南下しているのでは」と原因究明を急ぐ。

 県水産研究所などによると、ブリは東シナ海でふ化し日本海を北上しながら成長、産卵期が近づき日本海を南下する途中の富山県で水揚げしている。ふ化後、太平洋側を回遊し育つブリもいる。

 きっかけは平成27年度の大不漁だ。27年11月~28年1月に富山県で取れた6キロ以上のブリは約18トン。前年度同期の約12分の1となった。同県氷見市の氷見漁協は旬を告げる「ひみ寒ぶり開始」の宣言を11年度の制度開始以来、初めて見送った。28年度の同時期も約97トンと低水準が続いた。

 反対に漁獲が増えているのが太平洋側だ。集計期間が違い富山と単純比較はできないが、三重県では27年度の漁獲量が10年前の4倍以上となり、神奈川や高知両県でも増加している。

 調査では水温や水深、明るさを記録する長さ約3センチ、幅約1センチの電子タグを使用。明るさから経度を、水温と水深から緯度を推定する。今年6月、日本海側の青森県深浦町沖で、北上中とみられる群れから11匹を捕獲し、タグを埋めて放流した。

 水揚げ後にタグを回収してルートを解析する方式で、富山県水産研究所の連絡先が記してある。同研究所の小塚晃研究員(29)は「多くのデータが得られるよう、捕まえたら連絡してほしい」と呼び掛けている。

 当面の目標は、実際に津軽海峡を通過し太平洋を南下するかどうかを確かめることだ。31年度までの3年で計約30匹にタグを埋める。県水産漁港課は「回遊ルートが変化しているのであれば対処は難しい。調査結果次第ではブリ漁からの転換を促すことになるかもしれない」としている。