超音波でサクラマスを「健康」に、養殖拡大目指し研究 富山

 
サクラマスの稚魚が泳ぐ水槽と超音波発生装置を手にする県立滑川高校の吉倉桂三教諭=富山県滑川市

 富山県名物「ますずし」のネタとして知られるサクラマスの養殖拡大を目指し、元気な稚魚を育てる研究が進んでいる。実験のツールは、人の骨折治療に使われている超音波。これを稚魚に当てて、けがの回復や成長を促そうという試みだ。

 地元で長年、サクラマスの飼育を続けている県立滑川高校(滑川市)の吉倉桂三教諭(47)と、超音波治療を研究している富山県立大の唐木智明准教授(59)らが協力。唐木さんによると、ある周波数の超音波には、骨の細胞を刺激して成長を促す働きがあるとされており、魚の養殖に応用できないかと考えた。

 サクラマスは同県射水市などで養殖されているが、管理が難しく量産体制はまだ整っていない。飼育環境が過密になりがちで、水槽にぶつかったり、他の魚とけんかしたりして、けがで死ぬ魚や成長にばらつきが出るのが課題の一つ。「養殖拡大の鍵は、健康な稚魚を大量に育てること。超音波は解決策になる」と、吉倉さんは意気込む。

 滑川高校の実験室に設置された水槽には、同校でふ化させたサクラマスの稚魚約60匹が泳ぎ、水面にはハンドボールを半分に割ったような大きさの超音波発生装置が浮かぶ。装置から水中に向けて放射状に出された超音波が、水槽の壁に当たって繰り返し反射し、泳いでいる稚魚に照射される仕組みだ。

 6月に始めた実験では、超音波を当てた稚魚と普通に育てた稚魚とで、生き延びる数や成長のスピードに変化が出るかどうか調べる。まずは骨折治療と同じ周波数の超音波を当ててみるが、数年かけて適切な周波数や当て方を探るという。

 データ収集や水槽の管理は、海洋生物を研究するクラブ活動の一環として1~3年の生徒4人が担当。吉倉さんは「養殖技術の研究を通じて、資源や環境保護についても考えてもらいたい」と話している。