【スポーツ異聞】記憶薄れる平昌五輪 競技場の活用計画未定のまま 利用申請も受理できない事態に - 産経ニュース

【スポーツ異聞】記憶薄れる平昌五輪 競技場の活用計画未定のまま 利用申請も受理できない事態に

撤去のため、開・閉会式場の平昌五輪スタジアムをバックに記念撮影はもうできない=2月9日(早坂洋祐撮影)
撤去のため、開・閉会式場の平昌五輪スタジアムはすでに思い出の中だ(納富康撮影)
閉会式で熱気に包まれた平昌五輪スタジアムも今は撤去されたという(桐原正道撮影)
閉会式で賑やかさもどこへやら。平昌五輪スタジアムは撤去されたという(納富康撮影)
アイスホッケー会場だった関東ホッケーセンターは活用法が決まらず、使用希望を断られたところも(納冨康撮影)
 2018年2月に韓国で開催された平昌五輪・パラリンピックだが、閉幕して1カ月以上が経過しようというのに、競技場の事後活用計画がいまだ確定されていないばかりか、施設利用の申請を拒否する事態となり、スポーツ関係者から不評を買っているという。そのうえ、政府と地元自治体の間で赤字補填の出資比率で折り合いがつかず、「責任のなすりあい」と韓国メディアも呆れる状況という。
 五輪の競技場の事後計画は本来、五輪開幕前に策定されているのが通例だ。平昌五輪では、国際オリンピック委員会(IOC)のグラニ・リンドベリ調整委員長が2017年8月に開かれた五輪前最後の公式点検手続きで、7月末までに策定を要請していたにもかかわらず、事後計画が確定されていない事態に苦言を呈した経緯がある。
 韓国メディアのマネートゥデイは昨年10月31日付で「平昌五輪、今からでも返納できないだろうか?」と題して挙げた4つの理由の1つに、無分別な投資と競技場の事後活用計画の未確定による膨大な負債が生じる公算が大きいという項目があった。まさに不安が的中した格好である。
 朝鮮日報は4月29日付で事後計画の進行状況について報じた。五輪開催地の江原道が公表した資料によると、スピードスケート場、ホッケーセンターなど4競技場の収支を示し、運営費の合計が68億5700万ウォン(約6億8570万円)なのに対し、収益は23億200万ウォン(約2億3000万円)に留まり、赤字額は45億5500万ウォン(約4億5550万円)に達するという。
 江原道はこの4競技場に関して、冬季アジア大会を含む国内外の大会招致や韓国代表の練習場としての活用策を示すとともに、約45億ウォンを上回る巨額な運営費不足に関して、75%を政府支出で賄ってほしいと要請した。しかし、政府は拒否し、交渉は長引く事態になっているという。
 この事態に、五輪競技場の使用希望があっても断るしかない状況に陥っているようだ。韓国大学アイスホッケー連盟が週末リーグを発足させ、今年10月から来年2月にかけて計100試合の実施を計画し、江原道などに利用可能か聞いたが、競技場の運営主体が決まっていないため、明確に答えられないと曖昧な態度しか示せなかったという。
 また、平昌五輪でアイスホッケーは韓国と北朝鮮が女子統一チームを結成したことで注目され、五輪後の競技人口の拡大に期待が集まったが、行政サイドの不手際がスポーツ発展を阻害する事態になりかねない懸念が募る。
 一方、平昌では五輪の記憶が早くも薄れている。開・閉会式会場の撤去で、五輪のレガシー(遺産)を見学に訪れた観光客は大半がガッカリして帰ってしまうとか…。
 開・閉会式会場は2006年トリノ、14年ソチの両五輪では改造されてサッカー場として使用されているが、平昌五輪では一部が記念館として残るのみという。「五輪の遺産として残っているものが何一つない」という声さえ地域住民からあがっていると朝鮮日報は伝える。
 このままでは、今後10年間で約65兆ウォン(約6兆5000億円)と試算された五輪施設による経済効果も机上の空論になりかねない。