【平昌パラ】教訓、東京の糧に 輸送のバリアフリー工夫 競技会場への集客に課題も - 産経ニュース

【平昌パラ】教訓、東京の糧に 輸送のバリアフリー工夫 競技会場への集客に課題も

平昌冬季パラリンピックの閉会式で日本選手団の旗手を務める村岡桃佳(中央)=18日(共同)
閉会式場に入場する各国の国旗。右端は日本選手団の旗手を務める村岡桃佳=18日、平昌(共同)
 パラアスリートたちが躍動した平昌パラリンピックが18日、幕を閉じた。山間部での大会運営で輸送のバリアフリーに工夫を凝らす一方、認識不足などから段差解消の効果が十分でない対策も散見された。冬季大会としては過去最高のチケット販売を記録し、閉会式のスタンドは人で埋まったが、競技会場では空席も目立った。東京大会に向け、教訓が残された。(平昌 高久清史)
 ■情報にバリア
 18日、江陵オリンピックパークに近い江陵駅前。バリアフリーに力を入れる小池百合子・東京都知事は車いすで乗り込めるスロープ付きの車の説明を受けた。運転手は「目が見えない人、歩けない人も利用でき好評だ」と胸を張った。
 山間部に会場があるパラリンピックで大会運営のカギは、輸送に関するバリアフリー。平昌大会の組織委員会はスロープ付きの車、低床バス、リフト付きのバスなどを組み合わせ、移動手段を確保した。
 例えば、バイアスロン会場用にスロープ付きの車が10台程度待機。バスなどで近くにきた車いす利用者らをピックアップして入り口まで輸送した。東京大会の組織委員会や都の職員は「システム化されている」などと評価するが、周知が十分でない面もあった。
 車いすの日本人記者はメディア向けのバスが車いす対応でなかったため、バス担当のスタッフらに聞いて回って移動手段を探した。2日間かけてスロープ付きの車の存在にたどり着いたといい、「平昌組織委が縦割りで、情報にバリアがあった」。東京大会関係者は「情報共有がないと準備が無駄になる典型。教訓にしていく」と話す。
 東京大会では電車、地下鉄といった公共交通機関で競技会場の最寄り駅まで移動し、そこから徒歩やシャトルバスなどで移動する計画だ。多数の車いすの観客が想定され、駅のエレベーターで円滑に送り出せるかが課題。「ホームで長時間待たせるような事態になったら苦情が出る」(都幹部)
 ■「すごさ伝える」 
 平昌では障害者対策の詰めの甘さも露呈した。組織委関係者は、視覚障害者が移動するために頼りにする誘導用ブロックが途切れている部分が目立ったとし、「反面教師として見習う」。オリンピックパークのインフォメーションでは手話通訳が配置されていたが、都職員が訪れた際は「今日は休み」と言われたという。
 会場周辺では複数の飲食店がスロープをつけて歓迎していた。ただ都側が確認したところ、傾斜が急で道路との接続部分に段差が生じるなどしており、転倒リスクを伴うものもあった。
 都職員は「大会を通じてバリアフリーを波及させるため、正しい情報を街中に伝えていくことの重要性を実感した」。
 観戦チケットの売り上げは冬季大会としては過去最高を記録。国際パラリンピック委員会(IPC)の発表では12日までに32万531枚に達し、ソチ大会の31万6200枚を超えた。
 閉会式のスタンドはほぼ満席で熱気に包まれたが、競技種目によって空席が目立った事実も否めない。自治体や大企業が大量購入したものの、来場につながらなかったとの指摘がある。
 東京大会も集客が課題の一つとなりそうだ。昨年9月に都が東京大会に関して実施した調査では、57・1%が障害者スポーツに「関心がある」と回答したものの、パラリンピックを「競技会場で直接観戦したい」と答えたのは18・9%にとどまった。
 「見どころやアスリートのすごさを伝える工夫を重ねていきたい」。都幹部はそう意気込む。