ザギトワとメドベ-ジェワ支えた「鉄の女」 名コーチのトゥトベリーゼ、表彰式で抱きしめ2人を称える

平昌五輪

 フィギュアスケート女子金メダルのアリーナ・ザギトワ(15)と銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ(18)の氷上対決は世界を熱くした。2人はモスクワにあるアスリート養成学校「サンボ70」に所属し、同じコーチに師事する。練習でも大会でも一緒に切磋琢磨(せっさたくま)し、スケーティング技術や表現力を高め合ってきた結果が五輪史に残る名勝負を生んだ。。(佐々木正明)

アリーナ・ザギトワ(左)とエフゲニア・メドベージェワ(右)のコーチ、エテリ・トゥトベリーゼは表彰式で抱きしめ、2人の健闘をたたえた=23日、江陵(納冨康撮影)

ソチ五輪のリプニツカヤ育てる

 2人の女性コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ(44)は2014年ソチ五輪のフィギュア団体金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤを育て、「サンボ70」にはロシア全土から逸材が集まるようになった。

 トゥトベリーゼは厳しい指導で知られ、「鉄の女」の異名を取る。ザギトワはモスクワの東方1200キロに位置するイジェフスクの出身。3年前に親元を離れ、トゥトベリーゼのもとにやってきた。10年前から指導を受けるメドベージェワとともにスケーティングの基礎と、バレエの練習などで表現力を徹底的に教え込まれた。

フリーでも完璧な演技を見せ、優勝したアリーナ・ザギトワ(松永渉平撮影)
演技を終え、感極まって涙を流すエフゲニア・メドベージェワ(納冨康撮影)

初めての4回転ジャンプ決める 

 「サンボ70」には2人だけでなく、他にも将来のメダリスト候補がいる。昨年12月に名古屋で行われたジュニアのグランプリ(GP)ファイナルでは、一門が表彰台を独占。この時、優勝した13歳のアレクサンドラ・トゥルソワは2月、国内の公式試合で女子選手として初めて4回転ジャンプを決めており、シニアデビュー後は、上位の仲間入りをするとみられている。

 メドベージェワも「ここには私より難しい技を決めるジュニアの選手がいる。自分の方が年長なのに、彼女たちよりも、もっとうまくなりたいというモチベーションがわいてくる」と語っている。サンボ70は金メダリストを生む虎の穴、世界最高峰の養成所といえる。

フィギュアスケート女子で優勝したアリーナ・ザギトワ(右)と2位のエフゲニア・メドベージェワ=江陵(共同)

 一方で、トゥトベリーゼはチーム内に不和が起きないよう教え子には「ライバルを尊敬するように」と教えた。ザギトワとメドベージェワは周囲がどんなに同門対決をあおっても、お互いを認め合い、仲間であることを強調してきた。

 ザギトワは今回もメドベージェワを気遣い、報道陣にこう語ってみせた。

 「彼女にとってのメダルは五輪の金メダルと一緒なのです。彼女はいま私と同じ幸福を感じているはず。私がたとえ負けたとしても、銀メダルは金メダルだったのですから。私たちは終わった後、温かい言葉をかけ、励まし合いました」

 表彰式で、トゥトベリーゼは2人をそっと抱きしめた。長身のトゥトベリーゼにザギトワとメドベージェワが寄り添い、この4年間の全てを確かめ合った。2人の首にはメダルが掲げられた。

【平昌五輪2018】 フィギュアスケート 女子フリー 表彰式 エフゲニア・メドベージェワとアリーナ・ザギトワ =23日、韓国・江陵アイスアリーナ(納冨康撮影)

 2018年2月23日。江陵(カンヌン)アイスアリーナが生んだ名ドラマは、厳しい指導に耐え、五輪という夢の舞台で力の限りを尽くした2人の友情物語でもあった。