株式会社小学館
芸能の黄金時代を舞台に、無二の存在を刻んだ異才が自らの例外的な魂の軌跡を「小説」として描き切った画期的作品!
愛が消えるとき、歌が生まれた。
«三十代になったある日、作家の林秀彦さんから電話が掛かって来て、「荒木一郎を書きたいんだよね」と、言われた。
林さんとは、十代の頃からの知り合いであり、秀ちゃん、いっちゃんと呼び合う友達であり、十歳年上の人生の先輩でもある。
秀ちゃんと会ったのは、「ただいま11人」というTBSの連続テレビ番組だった。秀ちゃんは、松山善三さんのお弟子さんで、その作品の脚本を担当していた。
ホームドラマとして視聴率が高く、それに僕の母親がレギュラーで出演していたために、秀ちゃんは母の麻雀仲間として、時々上に遊びに来ていた。
〈中略〉
それにしても、秀ちゃんが「荒木一郎」を書いたら、そこに出て来る登場人物たちは実名になるのか偽名になるのか。
いずれにせよ、その人たちに迷惑が掛かるに決まってるから、秀ちゃんが書かなくても、僕の人生を本にする事は難しいだろうなあ、とも思った。»
(本書「まえがき」より)
16歳の時、NHKドラマ「バス通り裏」で役者デビュー。1966年に発売したレコード「空に星があるように」は60万枚を超える大ヒットとなり、 第8回日本レコード大賞新人賞を受賞。俳優、歌手、作曲家としての活動のみならず、マジック評論家として著書も執筆し、将棋はアマ四段の腕をもち、趣味の切手コレクションで「第18回全日本切手展」グランプリを受賞している。
そんな多彩な才能を持つ荒木一郎が78歳にして四半世紀ぶりに送り出したのは、自らの代表曲「空に星があるように」を冠した大河青春小説である。吉永小百合、岩下志麻、十朱幸代、大原麗子・・・同時代を輝いた女優たちとの美しい思い出の数々にはじまり、伝説のジャズバー「ありんこ」での不思議な交遊録、名曲「空に星があるように」誕生の秘密、「日本春歌考」ほか映画出演秘話など、60年代の映画・テレビ界を、当事者目線でありのままに綴る。
«青柳敏江という女優が、同じ「みたけプロ」に所属しているので、よく一緒の仕事になる。テレビ映画などでも一緒になるが、「虹子と啓介の交換日記」なるラジオ番組の仕事もレギュラーでやっていた。
出演料は二人だけだからスタジオも小さく、中央にテーブルとマイクがあり、それをはさんで対面して台本を読むのが仕事である。トン子とは、色々と無駄話をするのだが、この間も、本番が始まる前に謝金の話になった。
ちなみに、僕のNHKの出演料は「バス通り裏」の時で一回につき五百円。今回のレギュラーである「あじさいの歌」になってからは、少し上がって八百円になった。しかし、トン子のテレビの一回の出演料は八千円だという。
つい最近「七人の刑事」にゲスト主役で出た時でさえ、謝金は二千円だった。この差は何だ、と思ってるのにトン子は、自分の謝金については文句がないからだろう、次の話題に移った。「新春シャンソンショー」である。»
(本書「第一章 序曲」より)
驚くべき逸話が次々と綴られる、希代のスターによる新たな代表作! 華やかな時代の映画史・テレビ史・音楽史を読み解く上でも必見の作品だ。
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『空に星があるように
小説 荒木一郎』
著/荒木一郎
定価:3300円(税込)
判型/頁:4-6/530頁
ISBN978-4-09-386652-1
小学館より発売中(10/28発売)
本書の紹介ページはこちらです↓↓↓
https://www.shogakukan.co.jp/books/09386652
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【著者プロフィール】
荒木一郎(あらき・いちろう)
1944年、東京都生まれ。歌手、俳優、作詞・作曲家、小説家。幼少より舞台やラジオドラマなどで活動。1966年、『空に星があるように』で歌手デビュー、日本レコード大賞新人賞を受賞。『今夜は踊ろう』『いとしのマックス』など数々のヒット曲を生み出し、シンガーソングライターの嚆矢となる。