世界がん撲滅サミット2023実行委員会
三菱ケミカルグループ、生命科学インスティテュートが出澤真理教授をはじめとする治験実施施設担当医にMuse細胞の心筋梗塞治験に関する改悪的データを提示したことから始まった2月14日の記者会見は一躍脚光を浴びるものとなった。
東北大学大学院医学系研究科 細胞組織学分野教授 出澤真理 氏
三菱ケミカル側に立つ報道とMuse細胞を守る会(代表 出澤真理教授)を支援するSNSやメディアが双方の主張を展開する中、Muse細胞を守る会は世界がん撲滅サミット2023 in OSAKA代表顧問 中見利男氏に対して協力要請を行うに至った。
世界がん撲滅サミット2023 in OSAKA代表顧問 中見利男 氏 
そこで2月28日、厚労省高官と中見利男氏は緊急協議に臨み、このたび厚労省が三菱ケミカルに対して3月10日を目途にデータ開示を強く要請することが決まった。
また開発中止を発表しながら解約担当者と一向に連絡が取れないという異常事態に陥っている現状についても中見利男氏は、今後、三菱ケミカルに製薬業を行う資格があるのかという強い疑念と疑問を主張した。その結果、厚労省高官から担当の審査管理課に対し、この点でも情報共有がなされることになった。
つまり民間企業が専横を繰り返しているときにその引き締めにあたるのは監督官庁、すなわち厚労省ではないかという点で両者は意見の一致を見たのである。
またMuse細胞の独占ライセンス解約後の実用化を見据え、厚労省もMuse細胞を支援することが両者の協議の中で改めて確認された。
さらにPMDAが今回の件に関与したかどうかについても精査するように中見氏は厚労省高官に強く求めている。
同氏は「出澤教授は三菱ケミカルからの研究支援が打ち切られることを覚悟で、今回の記者会見に臨んだわけです。なぜなら、このままいけば日本からの創薬が押し潰され、新しい研究を行おうとする若い人々の芽を摘むことになり、ひいては患者の皆さんに希望の光を一切閉じてしまうことになるからです。私は大企業であるからこそ、三菱ケミカルにはデータ中心主義のこの医療界に心というものを持ち込んで、患者に寄り添った姿勢を強く打ち出してほしいと願っています。これから解決に向けてさらに尽力させていただきます」と語っている。
両者の協議を受けて三菱ケミカルは3月10日を目途にデータ公開に応じるかどうかが注目の的となるであろう。また開発中止を発表しておきながら、一向に解約に応じないというその不誠実な対応は、今後の三菱ケミカルのファーマ事業にも悪影響を及ぼすのではないかと思われる。早急な解決が望まれよう。
なお、中見利男氏が代表顧問を務める世界がん撲滅サミット2023 in OSAKAは今年11月3日(金・祝)大阪国際会議場にて正午から開催される。