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【熊木徹夫の人生相談】ギャンブル依存 夫は変わらない?

イラスト・千葉 真
イラスト・千葉 真

相談

 50代の女性。夫は昔からギャンブルが好きで、借金までしてパチンコをし、バレて一旦落ち着いても、また家のお金を持ち出して…の繰り返しでした。一時期、仕事でかかった駐車場代を家計から立て替えていましたが、次第に夫から返してもらえなくなり、高額になったため会社に経費精算を求める手紙を送りました。するとすでに精算済みで、そのお金を夫がオンラインゲームにつぎ込んでいたことが発覚。さすがに離婚も考えていると伝えると、今のところ、夫は落ち着いています。

 お金に関すること以外は、良き夫で良き父親。子供も大事にしてくれます。ただ、これまで何度も裏切られているので、常に不信感が拭えません。そんなふうに考える自分のことがいやになります。この先、夫は一生変わらないのでしょうか?

回答

 以下、私の診察室でよくある光景です。ギャンブル依存症者の夫がうなだれる横で、憔悴(しょうすい)しきった妻が訥々(とつとつ)と夫婦の来歴を語る。最後に妻がこう呟く。「この人、ギャンブルさえなければいい人なのに」。どこかで見た光景ではないですか。

 ひとたびギャンブルに打ち込んだ人は、一旦終息したように見えても、その“火種”は一生消えることがない。そのため、何かに激しく懲りて、猛省し、またギャンブル熱が再燃しないよう、自他共に慎重に見守り続ける必要があります。

 翻ってあなた方の場合はどうか。「もう二度としない」と約束してはそれを反故(ほご)にすることの繰り返し。しかし、ギャンブル依存症者は、ギャンブルを行うためなら、浅薄な嘘を平気でつくし、なりふり構わず借金を重ねます。ギャンブルの怖さは人格まで変容させてしまうことです。また、夫に対し猜疑(さいぎ)的になることであなたは自己嫌悪に陥るとのこと。すばらしき夫婦愛です。ただ、これは手放しに喜べない。あなたの優しさ、厳しく言い換えれば“手ぬるさ”が、夫のギャンブル癖に拍車をかけてしまっているのです。

 ではどうすべきか。あなたが夫を今も愛していること、離婚したくないこと、その“弱み”を実はとうに夫は見透かしています。夫に本当の覚悟を問うために、あなた自身腹をくくらねばならない。堂々巡りを繰り返し埒(らち)が明かないならば、いっそ実際に離縁に踏み切るべきです。ただし「彼が“更生”し、2年間ギャンブル断ちできたと証されたなら、再婚する」という念書を交わしてです。これはあなたの人生の「唯一にして最大の賭け」ですが、この賭けに勝てたとき初めて、あなたは自分の本来の人生を取り戻せるでしょう。

回答者

熊木徹夫(くまき・てつお) 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる~患者を〈わかる〉ということ~」(中公新書)など。

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