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コロナ給付金で出版社起業 初作は全ページ和紙の万葉集

新型コロナウイルスの特別定額給付金10万円で出版社を設立した佐々木良さん=5月14日、高松市番町
新型コロナウイルスの特別定額給付金10万円で出版社を設立した佐々木良さん=5月14日、高松市番町
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 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の1人10万円の特別定額給付金を資本金に、出版社を立ち上げた男性がいる。平成30年、瀬戸内海に浮かぶ豊島(てしま)=香川県土庄町=の美術館を舞台にした作品でノンフィクション作家としてデビューした佐々木良(りょう)さん(36)=高松市。「税金を使って起業した。将来的に1億円を納税して恩返しする」というのが目標だ。

島に魅了されて

 佐々木さんは中学、高校を高松市で過ごし20年、京都精華大芸術学部を卒業。大学時代に館内案内などのボランティアをしていた同県・直島の地中美術館(同県直島町)を運営する公益財団法人に就職し、ミュージアムショップのスタッフになった。

 執筆や出版にかかわるようになった転機は22年、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の初開催が決まった際、豊島に開設される美術館設立準備メンバーの一人に選ばれたことだった。

 豊島は1980年代、自動車の破砕くず(シュレッダーダスト)など産業廃棄物が不法投棄され、その量は当時国内最大といわれ、社会問題化した。現在は産廃も島外へ搬出されたが、佐々木さんが中学の社会見学で訪れた際は「ごみの島」というイメージが強烈だった。それが再び訪れた豊島は美しい風景の島へと印象が一変していた。

 「今はアートの島というイメージの豊島だが、かつては90万トン以上の産廃が不法投棄され、その対応に多額の税金も投入された。完全撤去には長い時間がかかっている。古事記の時代にもさかのぼり、島の歴史や文化を記録に残したい」

 こういう思いが募っていった佐々木さんは、23年に財団を辞め、京都の美術館で学芸員として働いていた24年ごろから、取材・執筆を開始。東京の出版社社長と知り合ったことから30年、「美術館ができるまで」を出版し、作家デビューした。

「チャンスあると伝えたい」

 このときの経験で「地方をテーマにした本を東京の出版社から出すのはハードルが高い。香川にも地方を発信ができる出版社を作りたい」と思い始めた佐々木さん。新型コロナの特別給付金が受けられることになり、給付金を資本金に充てることで出版社を立ち上げることを決めた。

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