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「誰一人、海を悪く言わなかった」・・・写真で綴る震災10年

宮城県石巻市で見た初日の出。この写真は表紙になった=令和3年1月1日 (C)谷口雅彦
宮城県石巻市で見た初日の出。この写真は表紙になった=令和3年1月1日 (C)谷口雅彦
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 平成23年の東日本大震災から10年、東北の被災地の姿を追い続ける写真家、谷口雅彦さん(53)=神奈川県藤沢市=が写真集「津波を乗り越えた町々 東日本大震災、十年の足跡」(双葉社)を出版した。15万枚超の写真から約400枚を厳選。それぞれの町がどれほどの被害に遭い、どんなプロセスを経て、どう生まれ変わったのか-をとらえたドキュメンタリー作品に仕上がっている。きっかけは7年1月の阪神大震災。「写真家として何もできなかった」悔しさが、原動力になった。(古野英明)

5分だけ見られた初日の出に復興の光

 令和3年元旦。谷口さんは宮城県石巻市の市街地を一望できる公園にいた。有名な初日の出スポットで、夜明け前には若者を中心に150人ほどが集まっていた。

 あいにくの曇天だったが、日の出の時間になると東の空の厚い雲に切れ目が。時間にして5分足らず。若者たちは静かにご来光を拝んでいたという。

 「その姿から、震災を忘れるのではなく、受け入れつつ前向きに生きよう、という思いが伝わってきた」と谷口さん。

 震災が起きて以来、足しげく東北に通い、被災地の現状をカメラに収めてきた。そして、そこで暮らす人々のたくましさ、前向きな姿勢に感銘を受けた。

 「出会った人の誰一人として、海のことを悪く言わなかった。海の恩恵を受けて生きてきたのだから恨み言は言うまい、これからも大好きなこの土地で暮らしていくんだ、と。この人たちなら災禍を乗り越えられると思った」

阪神大震災で「何もできなかった」負い目

 被災地を撮ろうと思ったのは、7年の阪神大震災がきっかけだった。

 発生前日の同年1月16日、谷口さんは神戸の知人を訪ねていた。1泊するかどうか迷ったが、翌日、東京で仕事があったため、夜になって神戸を後にしたという。

 「あのまま神戸にとどまっていたら…。テレビでニュースを見て慄然とした。なぜか神戸の駅で行き違った人たちの顔が記憶に残っていて、あの人たちはどうなったのかと考えると、震えが止まらなかった」

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