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【一聞百見】「キモカワ」…大阪万博ロゴの生みの親が明かす制作秘話

 新聞広告ばかりでなく、ミナミのアメリカ村にある飲食店の販促にかかわったりもした。そうした経験を積んで26歳の若さで独立する。しばらくして、関西の広告制作プロダクションの仕事を外注デザイナーとして始めた。「稼がせてもらいましたねえ。余裕ができたおかげで、昔、酒をおごってもらった友人たちに『きょうは俺が出す』って。むかしの友人にはちゃんとお返ししないといけない」

 義理堅い男なのである。

人を喜ばせ自分も楽しむ

 平成10年に日本タイポグラフィ協会のベストワークを獲得して以降、受賞が続き、15年には有限会社を設立する。順風満帆といっていい。「仕事をするうえで大切やと思うのは、人とのコミュニケーション。気配りできるかどうかです。人はひとりでは何もできないと思っています。だから気配りを意識します」。それが、仕事に対する哲学のひとつ。

仕事で作った「エンジェルちゃん」と一緒に=大阪市浪速区 (安元雄太撮影)
仕事で作った「エンジェルちゃん」と一緒に=大阪市浪速区 (安元雄太撮影)
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 「実際、クライアント(依頼主)に喜んでもらいたいと思うから、オリジナリティーのあるものができるんやないですかねえ」

 人を喜ばせることも仕事のうち、という考え方は、なかなかすてきだ。だから、持ち込まれた仕事もとりあえず断らずに受けてみることにしているのだという。

 「たとえば『空間のデザイン、できひんの』と聞かれたら、自分ができへんでも、『できますよ』と一回受けてみるんです。インテリアデザインだってそうです。大きな仕事でも、この人のデザインいいなあと思うインテリアデザイナーを選んで、その人と組めばええんですから。人を選んで人とつながることが大事やと思います」。できなければ、できる人をさがせばいい。その人とチームを作れば仕事を成立させることができるのだから。「気配り」はそのための大切なツールといっていい。

 そうした人間関係さえあれば、いろいろな新規開発ができるという証拠の品が、この事務所に詰まっている。かっこいいカップやソファは当たり前。金箔(きんぱく)を使っておしゃれに様変わりした何十万円もするけん玉やだるま落としといった懐かしの玩具もあった。「そうそう、会社のなかに置く受付嬢の等身大フィギュアなんていうのも作りました」

 なに? それ。

 「ノリというのか…。2002(平成14)年に、ある東京の会社の依頼でおもしろいビルサインができないか、というので、『社長室』みたいな看板を持たせたディスプレー人形をフロアごとに置いてみましょう、と。実際、社長室に番犬置いたり、社長の愛人を作ったり。とにかくマネキンを改造した1体何百万円のものを9体作って、社員がくるまでにこっそりディスプレーしてみました。そりゃ、初めて人形のディスプレーを見た社員はびっくり」

「太陽の塔」の模型を手に。誕生日が同じ岡本太郎を敬愛している=大阪市浪速区 (安元雄太撮影)
「太陽の塔」の模型を手に。誕生日が同じ岡本太郎を敬愛している=大阪市浪速区 (安元雄太撮影)
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 事務所でわれわれを迎えてくれた色っぽいエンジェルちゃんも、実はそのなかの1体。「ほんとうに何でもやりますよ。友人の店のロゴとか。友人やからカネは出世払い。彼らが出世してくれたら、すごいカネもらえるんちゃうかな」。もちろん、NHKのドラマのポスターやかっこいいデザインが詰まった本などオフィスには「本業」の品もたくさん並ぶ。

 「基本的に自分が楽しいと思う仕事をしていれば、人にも伝わると思うんです。若い世代の人たちには、どんなことでも面白がるっていうことを大事にしてほしいと思いますね。そして、最後まで粘ってモノづくりをしてほしい」

 最後に2025年万博への期待を。

 「こいつ(ロゴ)がどれだけの数で会場を埋め尽くすか、まず興味がありますね。それから、とにかくドキドキワクワクさせてほしい。空飛ぶタクシー、乗ってみたいなあ」

しまだ・たもつ 本名・嶋田保。昭和40年2月26日、大阪市生まれ。高校卒業後、松江寛之デザイン事務所などを経て平成4年、嶋田デザイン事務所を立ち上げ独立。有限会社シマダデザイン・アートディレクター、グラフィックデザイナー。「ニューヨークADC GOLD CUBE」はじめ受賞歴多数。

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