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コロナ時代の読書スタイルに?…人気広がる要約サービスとオーディオブック

「audiobook.jp」の画面。聞く読書は、隙間時間の活用にも最適だ(オトバンク提供)
「audiobook.jp」の画面。聞く読書は、隙間時間の活用にも最適だ(オトバンク提供)

 新型コロナウイルスの影響で在宅勤務など家で過ごす時間が増える中、本の要約や耳で読むサービスなど、新しい読書スタイルが広がってきた。隙間時間を利用できる上に、活字が苦手な人も取り入れやすいのだという。

人材育成に活用

 昨年、人気が高まったのが、書籍の要約サービスだ。1冊を10分ほどで読める形にしたものが多い。コロナ禍で企業が研修に利用する例も増えている。

 「セレンディップ」は、火曜~金曜の週4日、編集者やビジネスパーソンらが選んだ本のダイジェストを配信。法人利用が9割以上で、ビジネス書を中心に歴史や哲学なども選書されている。運営する情報工場の取締役、冨岡桂子さんは「コロナ禍で法人からの問い合わせが2倍になりました。これまでは管理職や幹部層の利用が多かったですが、若年層まで広がってきています」と話す。

 変化が激しい時代は企業でも新たな発想が不可欠。だが、昨年は、人と触れ合うことで得ていた知識や刺激を受ける機会も減った。「ネット書店は目的があって買うということになりがち。新しい情報に出会う機会として利用されているようです」と冨岡さん。

 ビジネス書の要約サービス「フライヤー」。昨年12月の会員数は、法人・個人合わせて約75万人で前年同期比1・5倍に。特に法人が伸びているという。

 フライヤーで昨年最も読まれたのが、『人は話し方が9割』(すばる舎)。2位は『「仕事ができる」とはどういうことか?』(宝島社)、3位は『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』(日本実業出版社)。新しい働き方や生活に合わせ、学ぶ意欲が高まっているようだ。

 大賀康史CEOは「企業の研修はコロナ禍でやりづらくなっていますが、人材への投資を止めることはできません。本は作るのに時間がかかる半面、陳腐化する情報ではない。本の良さが見直され、その信頼性が際立ってきているのではないか」と話す。

 フライヤーもセレンディップも書店との取り組みを進めており、要約サービスは書籍の購入にもつながっている。フライヤーのサイトにはネット書店へのリンクがあるが、要約を読み終えた人の15~20%がアクセスしているという。

耳の隙間時間を活用

 音声コンテンツにも注目が集まった。声優などプロが本を読み上げ、音声を聞く「オーディオブック」が急成長している。

 「オトバンク」が運営する「audiobook.jp」。ビジネス書や文芸など数万点を配信、月額750円の聴き放題サービスも導入している。会員数は令和元年度は約100万人だったのが、3年1月は約170万人に。

 上田渉会長は「リモートワーク中、メールの返信など簡単な事務作業をするときにスピーカーで聞いたり、家事をしながら利用されているようです」。ビジネス書はインプットを重視して倍速で聞く人もいれば、文芸作品は夜寝る前などに味わって聞くなど楽しみ方もさまざまだ。

 目ではなく耳を使うことで、新たな読者も生まれている。「祖父の緑内障がきっかけで起業しました。活字が苦手な人や、ディスレクシア(文字の読み書きに困難を抱える学習障害の一種)、高齢者など従来型の読書が難しい人たちも利用しやすい」と上田会長。

 インターネット通販大手のアマゾンジャパンの「オーディブル」は、オーディオブックを中心にさまざまなコンテンツを扱う。書籍を含め約40万点(日本語は約1万8000点)に上る。今年1月の会員数は前年同時期の2倍に。リモートワークが増え、動画コンテンツが隆盛する一方、「目を休ませたい」というニーズがあるという。

 声優や俳優の出演もオーディオブックの魅力だが、昨年は、映画監督の堤幸彦さんによるオリジナル作品『アレク氏2120』も発表。音だけで展開するSFミステリーで、三石琴乃さんら声優と、窪塚洋介さんら俳優が出演。音だけで作品世界を表現した。新しい試みとして、新潮社と共同で音声発の現代文学作品制作を進めている。

 オーディブル事業部のキーリング宮川もとみさんは、「昔からカセットなど音声コンテンツはありましたが、古いイメージでした。でも、スマートフォンの登場で気軽に聞けるようになり、AIスピーカーの登場でイメージが一新された」と指摘する。コロナで人に会うことが難しくなったが、「音声はスピーカーとリスナーの親密さが高い。人とつながっていないという恐怖感をオーディオが解消する可能性があるとも言われています」と宮川さん。

 出版科学研究所の久保雅暖主任研究員は「令和2年に出版された書籍の新刊点数は、推計で約6万8000点にも上ります。そこから読みたい本を選ぶのは大変な作業。要約サービスやオーディオブックは、自分に合う本と出会うきっかけになる。紙や電子とは別の選択肢として広がるのではないか」と話している。

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