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【中東ウオッチ】サウジ皇太子が描く「未来都市」 100%再生エネ、車道なしの成否は

エコシティー「LINE」の建設を発表するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子=1月10日(サウジ王室提供)
エコシティー「LINE」の建設を発表するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子=1月10日(サウジ王室提供)

 中東の石油大国サウジアラビアは、最先端技術を集めた巨大開発プロジェクト「NEOM(ネオム)」の建設を始めると表明した。紅海に面する同国北西部に、再生可能エネルギーだけで運営される“未来都市”を一から作り出す壮大な計画だ。世界でも例がない先駆的な試みで、石油依存からの脱却を視野に産業の多角化も目指す。野心的なプロジェクトの現状は-。(カイロ 佐藤貴生)

車がない街

 「なぜ発展のために自然を犠牲にしなくてはならないのか」「未来を見据えた街の概念に移行する必要がある」。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は1月10日、こう述べてNEOMの中核となるエコシティー「LINE」の建設計画を発表した。

 LINEは全長170キロの市街地で、車も車道もなく二酸化炭素の排出量はゼロ。100万人の居住を見込んでおり、住民は高速の公共交通機関で移動し、学校や医療施設など、どこに行くにも20分かからない利便性も兼ね備える。

 LINEだけでなく、NEOM全体が石油・ガスなどの化石エネルギーに頼らない街になる予定だ。開発対象地域はベルギーよりやや狭い約2万7000平方キロで、今年の第1四半期に建設が始まる。外国企業と協力し、スマートグリッド(次世代送電網)などにAI(人工知能)も活用する方針だ。

 NEOMはビジネスのほか各種産業のゾーンを設け、税制面での優遇措置などにより外国の有力企業の誘致を目指すとみられる。また、紅海の海岸線は約470キロの長さに及び、自然保護に配慮したリゾートとして開発される予定だ。

若者の希望

 NEOMの計画は2017年、ムハンマド皇太子が発表した。自らが主導する社会・経済の大規模改革「ビジョン2030」の基幹プロジェクトだ。LINEだけでも38万人の新規雇用が見込まれ、国内総生産(GDP)への貢献額は2030年までに1800億サウジ・リヤル(約5兆円)に上ると試算されている。

 産業多角化のために大掛かりな事業を仕掛け、大きな雇用を創出する狙いで、合わせて欧米など世界の注目を集めたい皇太子の思惑がのぞく。

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