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地方の切り札LRTに逆風 コロナが変えた輸送の価値観

LRTの導入協議が中断されたJR吉備線=2月10日、岡山市
LRTの導入協議が中断されたJR吉備線=2月10日、岡山市
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 新型コロナウイルス禍でさまざまなものが計画の中断や延期に追い込まれている。公共交通網の整備もその一つ。実現が遅れること自体の不便さだけでなく、事業費が膨らんだり、周辺の街づくりにも遅れが出たり。自治体の税収にもかかわってくる。次世代の軌道系交通システムとして期待される「LRT(次世代型路面電車)」もコロナ禍によって各地で計画の遅れが出ており、関係者が行く末に気をもんでいる。

コロナ禍で協議進まず

 LRTは高齢者や障害者が乗りやすいように床を低くした車両。移動のバリアフリー化のほか、従来の踏切を信号に変えて渋滞を解消できる交通の円滑化などの効果もあるとされる。国内ではJR路線のLRT化として平成18年、富山地方鉄道の富山港線(旧富山ライトレール)が初めて本格的なLRTを導入した。

 以降、各地で採用が検討されているが、今回、岡山県では、岡山市と総社市を結ぶJR吉備線にLRTを導入するための協議が中断となった。コロナ禍が原因だ。

 今回の計画は15年にJR西日本が提案。資金面の調整が難航していたが、30年にJRと岡山市、総社市の3者合意がまとまった。初期投資の約240億円はJR西が58億円(24%)、岡山市が70億円(29%)、総社市21億円(9%)、残りは国の補助金などを活用する。沿線には両市で計8駅を新設する計画で、10年後ごろの利用開始を目指していた。

 こうした中、新型コロナの感染拡大に見舞われた。

 3者の対面協議ができなくなり、昨年度中に予定していた基本計画策定が遅延した。資金面も苦しい。コロナ禍で岡山市の令和3年度の税収は今年度当初予算ベースで約56億円減少する見通しで、総社市も3年度は10%の税収減を前提にした予算編成作業を行っている。JR西も、2年4~12月期の全社の最終損益は1618億円の赤字。岡山支社管内は年末年始(12月25日~1月5日)だけで見ても利用者数は前年比7割減だった。

 こうした状況下では協議を進めても前進しないとして、3者は2月9日、計画に向けての協議の中断を正式に決めた。

地元がかける期待

 LRT計画への地元の期待は大きかった。

 「人口7万人まで、あと300人なんです。最高の機能を有するLRT導入で、特に高齢者や障害者の交通に対する利便性は圧倒的に上がってくる。企業進出の引き合いも強くなる」

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