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【川村妙慶の人生相談】老親にキレた夫 芽生えた不信感 

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

 50代のパート主婦。母(88)は要介護2で1人暮らし。月に1度、私の夫(50代)の運転で母を訪ねています。その際、母は夫の運転で用事を済ませに出かけます。しかし先日、行き方があいまいな予定外の場所に行けと突然母から言われ、行ってみると留守だった場所もあったことが重なり、夫と母が口論に。夫が「そんなふうでは、もう行ってあげません」と言うと、怒った母が「降ろせ」と言い、夫も「降りてください」。結局、降車は免れましたが、以降、険悪になりました。

 優しいけれど、老人を労(いたわ)る人ではなかったようです。どうしてあんなふうに言ったのか、夫に聞くと「売り言葉に買い言葉だった」。母は「そんな男と縁を切れ、絶対許さない」と言います。この先、夫と思い合って生きていく自信がありません。

回答

 ようこそお便りくださいました。母に優しくできない連れ合いさんに、残念な気持ちになったのですね。つらかったですね。

 連れ合いさんは、アクシデント続きで動揺し、日頃の「心の疲れ」が思わぬ行動として出てしまったのでしょう。

 「怒りの感情を持つ」ことと、相手を「怒りの言葉で攻撃」することは異なります。怒りは体に湧き起こる自然な愛情表現。怒りは誰にでも湧くものです。一方、頭に血が上った状態で発した言葉を、相手は素直に聞けません。

 人間は、自身の毒になる「煩悩」を抱えています。代表的なのが「三毒」=貪瞋痴(とんじんち)です。その一つが瞋恚(しんに)=怒りです。怒りは、燃え広がる火と同じで気づけば大きくなっています。連れ合いさんも大人げないことをしてしまったと分かっているのだと思います。しかし心が疲れたときに、相手から受けた怒りの言葉が引き金となり、怒りで返してしまったのでしょう。

 「仏法(ぶっぽう)には、無我にて候(そうろ)ううえは、人に負けて信をとるべきなり」(蓮如上人)

 あなたが怒っている理由は、連れ合いさんが母に優しくできなかったからですね。母に優しくしてと連れ合いさんを説得したいのに、思い通りにならず、あなたは今、自分で怒りを燃やしています。根底には、相手を「負かしたい気持ち」があるのではないでしょうか。蓮如上人は「人間は日々考えが変わっています。相手の態度が悪いからこんな人だと決めつけず、又(また)、自分の考えが絶対正しいとも思い込まず、人に負けて(自我を柔らかくし)、何が大切なのかを考えましょう」とおっしゃっています。気にくわないと怒ることでは解決しないのです。大切なのは、家族が幸せに暮らすことではないでしょうか。

 どうかあなたの柔軟な心で、この一件を柔らかく流してあげませんか。その心に連れ合いさんも怒りのこぶしを下ろしていけるのでしょう。

回答者

川村妙慶 僧侶兼アナウンサー。昭和39年生まれ。ラジオのパーソナリティーとして活動するほか、ブログの法話を日替わりで更新している。著書に「持たない暮らしのすすめ-本当の幸せを得るための人生の法則」(海竜社)、「人生後半こう生きなはれ」(講談社+α新書)など。

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