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「甘味料に誤解」と波紋 大学入学共通テストの英語問題文

大学入学共通テスト1次日程の英語リーディング第6問Bの問題文。業界団体は「内容は誤解を与える」と懸念を表明している
大学入学共通テスト1次日程の英語リーディング第6問Bの問題文。業界団体は「内容は誤解を与える」と懸念を表明している

 1月に実施された大学入学共通テストの英語の問題で、甘味料が健康に悪影響を及ぼすかのような記述があり、業界団体などが「科学的に誤った内容を問題文にするのはおかしい」との声明を発表、波紋が広がっている。問題文は「英語力」を問うものだが、専門家は食品添加物を扱った今回の内容について「問題文を作る前に確認するべきだ」と指摘している。

食品科学では「誤り」

 懸念が表明されたのは、英語リーディングの第6問B。英文読解の問題文の中で、甘味料について「低カロリー甘味料の中には発がん性に懸念があったり記憶力や脳の発達に影響するものもあったりし、幼児や妊婦、高齢者に危険となりえる」と、安全性に問題があるかのように書かれていた。

 この内容に対し、食品添加物の業界団体である日本食品添加物協会は1月21日、「低カロリー甘味料は、日本のみならず海外各国で安全性に問題ないとして使用が認められている」とし、「ごく一部の研究内容を基に安全性への懸念だけをクローズアップすることは、公に使用が認められている甘味料に対して、誤った認識および不安や混乱を与えてしまう」と懸念を表明した。

 また、食品安全の情報発信をすべく活動している有識者らの団体「食品安全情報ネットワーク(FSIN)」も27日、問題を作成した大学入試センターに対し、「問題文は食品科学の視点から見て重大な誤りがある。たとえ英語力を問う出題であっても、科学的に誤った内容を試験問題として採用することは望ましくない」とし、「過去問題として授業での活用や受験参考書への掲載がないようにしてほしい」とする要望書を出した。

変化する家庭科教育

 食品添加物については中学・高校の家庭科で学ぶ。横浜国立大学教育学部の杉山久仁子教授(家庭科教育)は「家庭科では、食品添加物は科学的な知見をもとに使用基準が決められ、使用が認められているものは、その基準の範囲内で安全性が確認されていることを学ぶ。問題文は食品添加物の不安をあおるような内容で非常に問題だと感じた」と話す。

 ただ、食品添加物の扱いは時代とともに変化してきた。中学の教科書では平成20年ごろまで「食品添加物の体内での作用が完全に明らかになっていない」として、食品添加物を使用した加工食品はなるべく選ばないようにすることを推奨するような指導が行われていた。

 大学入試センターによると、問題作成には約40人が関与。同センターは「(業界団体などから)指摘されている内容について確認しているところで、対応するかどうかを含め検討中」としている。

科学リテラシーも必要

 食品添加物をはじめ食品の安全について不安に感じている人は多い。また、インターネット上には問題文にあるような学説も散見される。ただ、食品安全については、平成15年に食品安全委員会が設置され、科学的な見地から情報発信が行なわれている。

 中学高校の理科教育に長年携わり、「暮らしのなかのニセ科学」(平凡社新書)などの著書もある教育学者の左巻健男さんは「(問題作成者が)過去に誤った内容を学んだとしても、今は食品安全委員会のサイトなどで食品添加物に関する最新の科学的知見が簡単に得られる。問題文を作る前に確認するべきだろう」と指摘。その上で、「英語の問題だからといって非科学的な内容を事実のように取り上げていいわけではない。英語の先生といえども英語だけできればいいと考えず、最低限の科学リテラシーを身に着けてほしい」と話している。

(文化部 平沢裕子)

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