PR

ニュース プレミアム

街頭に立てない遺児たち 募金活動に影落とすコロナ

「遺児を他人ごとと思わないでほしい」と話す奨学生の兼高瑞穂さん(22)=大津市
「遺児を他人ごとと思わないでほしい」と話す奨学生の兼高瑞穂さん(22)=大津市
その他の写真を見る(1/2枚)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、奨学金を通じて病気や災害などで親を亡くした遺児への支援などを行う「あしなが育英会」(東京)の活動も中止せざるを得ない状況に追い込まれている。同会の奨学金を受け、滋賀県の成安造形大に通う兼高瑞穂さん(22)は「募金活動は遺児や育英会のことを知ってもらう重要な機会だっただけに残念だ」と肩を落とす。(花輪理徳)

 4歳の時に父親をがんで亡くした兼高さんは、和歌山県できょうだいとともに、母と祖父母に囲まれて育った。「同級生が『お父さんと同じ洗濯機を使うのは嫌だよね』『一緒にお風呂入りたくない』と話していても、どう話を合わせていいか分からなかった」と、ふとした会話にも疎外感を募らせる日々を送った。

 あしなが育英会の奨学金を得て進学した高校3年生のとき、大学に通う奨学生から街頭募金活動に誘われた。現場には親を亡くした経験を赤裸々に話しながら支援を呼びかける先輩奨学生の姿があった。

 「自分の話をそんなに詳しく話す必要があるのかと少し恥ずかしかった」というが、先輩たちと同じように訴えているうちにその気持ちは吹き飛んだという。「これまで大勢の人の前で自分の気持ちを話したことがなかった。自分に気をかけて募金してくれる人がいることを、とてもうれしく感じた」。

 やりがいを感じた兼高さんは滋賀県の大学に進学してからも積極的に募金活動に参加するように。一日中、駅前に立ち続けるのは体力的に決して楽ではなく、「ビラを差し出しても『いいです』といわれると、心も折れそうになったこともあった」と振り返る。それでも、駅前のロータリーのベンチでずっと話を聞いていた高齢男性が、わざわざ「君のためなら」と募金してくれることもあり、感謝の気持ちを深くするとともに、募金活動自体が充足感や喜びに変わっていったという。

 毎月7万円の奨学金を同会から受け取っていた兼高さん。特待生だったこともあり、別の支援制度と組み合わせることで生活費や学費を十分に補えたといい、「返済義務のない支援も多く、アルバイトをしすぎて勉強がおろそかにならずに済んだ」と感謝している。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ