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【熊木徹夫の人生相談】夫にガツンと言ってやりたい

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

 40代主婦。夫のことで相談です。夫は仕事のストレスからか毎晩お酒を飲んでは愚痴をこぼします。仕事、ニュースの内容、テレビのタレントの容姿など、大きな声で延々と…。「お酒は控えて」と言っても、夫は「やめられない」。「愚痴を聞く私がめいる」と伝えても、「どこで言えばいいのか。早く死にたい」と言うだけです。たまりかねた娘が夫に気持ちを伝えるメールをすると、夫はわびるどころか「学費を払わない」と返しました。娘は学校で涙ぐむほど、しばらく情緒が不安定になりました。

 夫はそもそも誰にもこびない性格。旅行や外食先では横柄な態度です。子供も夫にがっかりしています。せめてお酒と毎日の愚痴を控えてもらうため、夫にガツンと言う方法があれば教えてください。

回答

 あなたのご主人は、家族皆からうんざりされているにもかかわらず、なぜ愚痴を垂れ流し続けるのか。まずはそこから考えましょう。そもそも彼は、こんな自分をみじめだと思っているか。恐らくそうではない。「まわりの人間はウスノロばかりなのに、優秀な俺がいつもバカをみている。世が世なら、俺はもっと高く評価されてしかるべきだ。こんな理不尽に耐えるには、酒でも飲まなくてはやっていられない。妻子は養ってやっているのだから、俺の苦しみを理解し共有すべきだ。それなのに、娘は不遜にも俺に説教しようとしやがる。そんなやつに出してやる学費などない…」と考えているはずです。

 では一体、彼はどのようなカテゴリーの人物なのか。彼は「自己愛性人格」に該当します。実が伴わないにもかかわらず、プライドばかり高い。いわば、かなり強度のナルシシストです。「ナルシシストというなら、もっと自己陶酔しているものでは」とお感じになるかもしれません。ですが、“不遇をかこつ己を憐(あわ)れむ”というスタイルのナルシシストもいるのです。

 あなたがその気なら、離婚を申し立ててもいい。が、家の経済を盾にされ、そうもいかないなら、どうすべきか。正論で迎え撃とうとせず、心にもないしらじらしいお世辞を、あえて言いまくるのです。「ほ~ぉ、あなたは立派ですねえ」というような具合に。あなたの精神衛生に悪いので、彼の言葉をまじめに取り合わないようにする。彼のナルシシストぶりと戯れるという意味で、私はこれを「ナルシシストごっこ」と呼んでいます。彼がその状況に白けるようならしめたもの。そうでなくても、彼を茶化(ちゃか)すことで、あなたの留飲がいくばくかでも下がれば、意味はあります。

回答者

熊木徹夫 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる~患者を〈わかる〉ということ~」(中公新書)など。

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 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、相談内容を詳しく書いて、〒100-8078か〒556-8660(いずれも住所不要) 産経新聞「人生相談 あすへのヒント」係まで。〈メール〉life@sankei.co.jp〈FAX〉03・5255・6634。紙上での匿名は可能です。採用分には1000円分の図書カードを差し上げます。

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